デジタル大辞泉
「切迫流産」の意味・読み・例文・類語
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せっぱく‐りゅうざん‥リウザン【切迫流産】
- 〘 名詞 〙 妊婦が流産になりそうな状態。少量の出血と、下腹部に軽い痛みを伴う。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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せっぱくりゅうざん【切迫流産 Threatened Abortion】
[どんな病気か]
流産の危険が迫っている状態を、切迫流産といいます。性器出血と下腹痛がおもな症状です。
妊娠初期に、軽度なものも含めると約20~30%の人が、出血や下腹痛を経験するといわれます。
これらの症状が、必ずしも流産につながるわけではありませんが、流産の始まりの症状として大事なものです。
なお、たとえ切迫流産と診断されても、症状がよくなって、胎児(たいじ)の生存が確認できれば、正常な赤ちゃんを産むことも可能です。
[検査と診断]
胎児が生存しているかどうかが、診断上重要となります。
妊娠初期の胎児の生存は、超音波検査で確認されます。
妊娠4週ぐらいになると、子宮内に胎嚢(たいのう)と呼ばれる袋が認められます。
胎嚢は、週数が進むにつれて大きくなり、7週ぐらいまでに、胎嚢内に胎児および胎児心拍(たいじしんぱく)がみられるようになります。
胎児心拍が認められれば、その後、流産する率は数%といわれていますので、安静にして、症状がよくなるのを待ちます。
胎児心拍が認められない場合は、まだ週数が早すぎるか、あるいはすでに子宮内で胎芽が死亡し、流産が進行しつつあるかですが、症状がおこり始めたばかりでは判定できないことも多いものです。
妊娠週数は最終月経開始日から計算するため、基礎体温測定を行なっていた人や、受精日が特定できる場合以外は、各自の排卵日の差によって、計算上の妊娠週数と、実際の排卵日から計算した胎齢(たいれい)が合わないことがよくあります。
したがって、症状が軽く、経過観察が可能な場合は、ときどき超音波で胎嚢や胎児の大きさの変化を観察し、最終的に胎児心拍が認められるのを待つことになります。
また、補助的な診断法として、尿中のホルモン測定や、基礎体温測定なども同時に行ないます。
しかし、これらの検査は、経過観察のうえで参考になるものではありますが、胎児が生存しているかどうかの確定診断には、超音波検査による胎児心拍、および胎児の運動の有無の確認が重要です。
[治療]
安静が第一です。先に述べたように、妊娠初期の流産は胎芽に致死的な異常がある場合が多いので、治療は不可能です。
しかし、切迫流産の段階では、この異常の有無はわからないので、ふとんに横になり、安静にして経過をみることになります。症状の程度によっては、入院が必要なこともあります。
薬物治療としてはホルモン療法がありますが、有効性が確かでないことや、胎児への影響が否定しきれないことから、最近ではあまり行なわれなくなっています。
そのほかに、症状を緩和する方法として、止血剤や子宮収縮抑制剤(しきゅうしゅうしゅくよくせいざい)が用いられます。
最近は、低用量アスピリン療法が行なわれることもありますが、いずれにしても完全に流産を予防できる方法はありません。
妊娠中期以降の切迫流産では、病原菌の感染でおこるものもあります。
この場合は、病原菌に対する抗生物質が必要となるので、妊娠中でも、医師の指示にしたがって、治療のため、あるいは予防の目的で適切な抗生物質を使用します。
出典 小学館家庭医学館について 情報
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切迫流産
せっぱくりゅうざん
流産が始まろうとしている状態をいう。下腹部の緊満感あるいは軽い陣痛様の痛みとともに少量の性器出血をみる。流産の第一段階であり、まだ頸管(けいかん)の開大や卵膜の破綻(はたん)はみられない。したがって、治療により流産を食い止めて妊娠を継続させる可能性がある。その治療対象の段階にあるかどうか、治療を打ち切り流産させるべきかどうかを決めるには、内診や超音波診断法などによる二、三の臨床検査のデータを参考にする。治療としては、まず切迫流産と診断されたら安静を保ち、黄体ホルモンなどによるホルモン療法が行われる。それでも症状が長期間続くような場合には、治療打ち切りの時期を決定するための検査が必要となる。また、頸管無力症の切迫徴候がみられる場合には、頸管縫縮術が行われる。
[新井正夫]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
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切迫流産【せっぱくりゅうざん】
流産が始まったばかりで子宮口があまり開いていない初期の状態。すぐ治療すれば流産を止められる。少量の出血,血性帯下(たいげ),下腹部の圧迫感などの症状を呈し,下腹部痛は伴う場合と伴わない場合がある。治療には黄体ホルモンや,鎮痛薬の投与,下痢の防止などを行い,絶対安静を守る。
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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せっぱくりゅうざん【切迫流産】
流産が迫っている状態です。サインは出血と下腹部痛。でも、この段階なら治療によって食い止めることも可能です。
出典 母子衛生研究会「赤ちゃん&子育てインフォ」指導/妊娠編:中林正雄(母子愛育会総合母子保健センター所長)、子育て編:渡辺博(帝京大学医学部附属溝口病院小児科科長)妊娠・子育て用語辞典について 情報
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世界大百科事典(旧版)内の切迫流産の言及
【流産】より
…
[種類とその症状]
流産の経過あるいは症状によって次のように分類されている。(1)切迫流産 流産の初期の状態であり,子宮からの出血ないしは下腹痛を主症状とするが,子宮頸管は閉鎖しており,胎児の生存の可能性が強く,治療に反応して正常に妊娠が継続する可能性をもっている。従来は切迫流産の予後を判定するのに種々の方法がとられてきたが,現在では電子走査超音波断層診断法によって妊娠初期に胎児の生死の判別が可能になり,その他のホルモン測定等との組合せにより切迫流産の予後判定,治療法の選択はもとより,切迫流産の診断そのものにまで改善がみられるようになった。…
※「切迫流産」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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