改訂新版 世界大百科事典 「類題集」の意味・わかりやすい解説
類題集 (るいだいしゅう)
歌集,俳諧発句集の一種。和歌を題材別に分類して編集した私撰歌集の一種で,これを模倣して俳諧の類題発句集も編集された。歌集では,今日知られる最古のものは10世紀後半の《古今和歌六帖》で,《万葉集》《古今集》《後撰集》などの約4500首の歌を天象,地儀,人事,草虫木鳥の25項目,516題に分類する。名所別の類題集では里村昌琢編の《類字名所和歌集》(1617)が有名である。収載歌数の多いものでは《名所栞(めいしよしおり)》。俳諧の発句の類題集では蝶夢編《類題発句集》(1774)が有名。守武,貞徳などの古人から当時の作者に至る句を,1年の季題別,および雑類題別に編集。なお蝶夢には《新類題発句集》(1793)もあり,これは当時の作者の句を分類。類題集は和歌,俳諧の初心者が歌作,句作するのに便利であるのみならず,習熟者にとってもすこぶる便利なため座右に置かれて大いに利用された。
執筆者:宗政 五十緒
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報