風折烏帽子(読み)かざおりえぼし

精選版 日本国語大辞典 「風折烏帽子」の意味・読み・例文・類語

かざおり‐えぼし かざをり‥【風折烏帽子】

〘名〙 (風で吹き折られた形の烏帽子の意) 頂辺の峰(みね)の部分を左または右に斜めに折った烏帽子。左折り地下(じげ)の料とし、右折りを狩衣着用の際の上皇の料とする。近世紙製形式化し、皺(しぼ)を立てて黒漆塗とする。平礼烏帽子(ひれえぼし)。かざおり。
※車屋本謡曲・草子洗小町(1570頃か)「小町に舞をそうせよと、各(おのおの)立より花のうちぎぬ、風折烏帽子をきせ申し」

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デジタル大辞泉 「風折烏帽子」の意味・読み・例文・類語

かざおり‐えぼし〔かざをり‐〕【風折×帽子】

たて烏帽子の頂が風に吹き折られた形の烏帽子。狩衣かりぎぬ着用のときにかぶる。右折りは上皇、左折りは一般が用いた。平礼烏帽子ひれえぼし。かざおり。

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世界大百科事典(旧版)内の風折烏帽子の言及

【烏帽子】より

…立烏帽子は一般に堂上家に用いられ,地下(じげ)は使用しなかったが,白丁(はくちよう),退紅(たいこう)などは一種の立烏帽子をかぶった。(2)折烏帽子(おりえぼし) 立烏帽子の上部がくずれ折れた形の形式化したものを称したが,このなかに風折烏帽子(かざおりえぼし)と侍烏帽子(さむらいえぼし)をも含めている。風折烏帽子というのは名の示すように烏帽子の峰が左右いずれかへ折れた形であり,侍烏帽子はとくにその峰の折れ方が複雑になった一定形式のものをいった。…

※「風折烏帽子」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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