飛驒山(読み)ひだやま

改訂新版 世界大百科事典 「飛驒山」の意味・わかりやすい解説

飛驒山 (ひだやま)

飛驒国(岐阜県の北半)は山国であるうえに,近世飛驒山林王国として知られたことに由来する通称。古代の飛驒は飛驒工ひだのたくみ)の出身地で,当時これらの工匠はおもに宮や官寺などの建築と用材の採運に使役された。大宝・養老令には,飛驒国は里ごとに匠丁10人を1年交替で貢進すること,その代償として庸と調を免除されることが規定されているが,飛驒材が畿内近国へ搬出されるようになるのは中世末ごろからである。1586年(天正14)金森長近が豊臣秀吉から飛驒一国を与えられて高山城主となった当時は,産金所得が木材収益を上回っていたが,かねてから飛驒の豊富な山林資源に着目していた江戸幕府は,6代金森頼旹(よりとき)の1692年(元禄5),奪取にも近い方法によって飛驒の直領化に成功した。金山を〈御林(おはやし)〉とする管理体制のもとに略奪的な用材生産に当たったが,半世紀を出ずして採運に便利な山林は荒廃に帰したため,その後は採材制限の強化と積極的な人工造林とによって,幕末期には元禄収公時に匹敵するほどの山林更新を見るに至った。
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