日本大百科全書(ニッポニカ) 「食べすぎ」の意味・わかりやすい解説
食べすぎ
たべすぎ
過食ともいう。食欲が異常に高まった場合に生じる。普通の人でもなにか御馳走(ごちそう)があったり、おいしい好きなものを食べるときには過食に陥りやすいが、病的な場合としては糖尿病や甲状腺(せん)機能亢進(こうしん)症の場合がある。これらの場合には、食欲が亢進して多量に摂食するにもかかわらず、体重減少をきたしやすいのが特徴的である。
一時的な過食の結果は、胃部の膨満感、重圧感、悪心(むかつき)、嘔吐(おうと)、腹痛、下痢などの急性胃腸炎をきたしやすい。また過食が長期間続くと、肥満や脂肪肝をきたし、高血圧症、心臓病、糖尿病、動脈硬化などの病気に悪影響を及ぼすことになる。このほか、やけ食いなどといわれるように、寂しさや欲求不満を紛らす手段として過食が行われることもある。また、神経性食欲不振症の患者で、経過中に拒食と過食が繰り返しおこることがある。このような場合には、患者は正常人のように食物をおいしく味わって食べるのでなく、自分の欲求や衝動を満たすために普通量の数倍も一度に過食し、その後にのどに指を入れて吐くといった行動(自己誘発性嘔吐)がみられる。
[中川哲也]