改訂新版 世界大百科事典 「食品漂白剤」の意味・わかりやすい解説
食品漂白剤 (しょくひんひょうはくざい)
食品の色を白くするために用いる薬剤。食品原料は本来,固有の色をもっているが,可食部のみを精製すると,精製度がよいものは一般に色が白くなる。例えば,小麦粉は小麦の胚乳部のみを製粉するが,精製度が悪いとふすまが混入し,着色を示す。そのため,消費者は色が白いものほど高級なものと認めることが多く,漂白剤が添加される素地となっている。漂白剤には,色素を酸化して漂白する酸化型のものと,還元して漂白する還元型のものがある。前者には亜塩素酸ナトリウム,過酸化ベンゾイルなどが,後者には亜硫酸ナトリウム,亜硫酸水素ナトリウム,次亜硫酸ナトリウムなどがある。このうち,亜硫酸の還元力を利用するものが最も広く用いられており,こんにゃく粉,干しアンズ,干しスモモ,干しパイナップル,果実酒,水あめ,天然果汁,エビのむき身などに用いられている。過酸化ベンゾイルは漂白と同時に製パン性を改善する目的で小麦粉に添加される。また,過酸化水素がかずのこ,しらす,かまぼこの漂白にかつて広く用いられたが,1980年に日本で発癌性の疑いが判明したので,最終製品の完成前に分解または除去することが定められた。
執筆者:田島 真
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報