田島(読み)たじま

日本歴史地名大系 「田島」の解説

田島
たじま

[現在地名]中川村大字片桐 南田島・中田島・田島

村の東南、前沢まえざわ川の南で段丘崖の上下に集落が発達し、東に天竜川氾濫原が広がっている。天竜川沿岸は標高四八〇メートルで温暖肥沃の地である。

永徳三年(一三八三)二月一二日の小笠原長基が子息長秀に与えた譲状(小笠原文書)には「壱所 同国(信濃)田嶋郷折中分土用犬丸可知行之」とあり、同文書のほかの所領と併せ考えると田島郷折中分は春近領に属していたのではないかといわれている。

応永七年(一四〇〇)大塔合戦の戦記である「信州大塔軍記」に小笠原軍に従った「春近人々」の中に「片桐中務丞・同田嶋(但馬)」の名がみえるが、これは片切かたぎり(船山)城に本拠をもつ片桐氏であったであろう。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「田島」の意味・わかりやすい解説

田島
たじま

福島県南西部、南会津郡にあった旧町名(田島町(まち))。現在は南会津町の東部を占める地域。阿賀川(あががわ)(大川)の上流域を占める。旧田島町は、1896年(明治29)町制施行。1955年(昭和30)檜沢(ひざわ)、荒海(あらかい)の2村と合併。2006年(平成18)舘岩(たていわ)、伊南(いな)、南郷の3村と合併して南会津町となった。会津鉄道、野岩鉄道(やがんてつどう)、国道121号、289号、352号、400号などが通じる。古代長江郷(ごう)、中世長江荘(しょう)の地。江戸時代は南山御蔵(みなみやまおくら)入りと称する幕府領の一部であった。中心の田島は、阿賀川上流の檜沢川と荒海川が会合する地にあり、下野(しもつけ)街道(南山通り、現、国道121号)の宿駅で、駒止峠(こまどとうげ)を越えて南山の西部ともつながった。また幕府の田島代官所が置かれた。付近には、中世の鴫山城(しぎやまじょう)跡があり、現在も県の合同庁舎が置かれている。地域の大部分は山地で、特別豪雪地帯に指定されている。葉タバコ、トマト、キノコ、ブドウ栽培が行われる。また、自動車部品、機械、光学器械などの工場がある。昭和村にまたがる駒止湿原は国の天然記念物旧南会津郡役所は県の重要文化財。田出宇賀(たでうが)、熊野両神社の祇園祭のおとうや行事(ぎおんさいのおとうやぎょうじ)は国の重要無形民俗文化財に指定されている。

[安田初雄]

『室井康弘編『田島の歴史』(1961・田島町)』『『田島町史』全11冊(1977~1992・田島町)』


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「田島」の意味・わかりやすい解説

田島
たじま

福島県南西部,南会津町東部の旧町域。大川上流部に位置する。 1896年町制。 1955年檜沢村,荒海村と合体。 2006年舘岩村,伊南村,南郷村と合体して南会津町となった。会津西街道宿場町,中世末には鴫山城 (しぎやまじょう) の城下町として発展。寛永年間 (1624~44) に幕府直轄地となり,代官陣屋が置かれた。南会津地方の行政・商業の中心地。大部分が山地で,かつては用材の集散地であった。おもに花卉やアスパラガスなどの野菜の栽培が行なわれる。国の天然記念物の駒止湿原 (こまどしつげん) がある。

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[日本酒・本格焼酎・泡盛]銘柄コレクション 「田島」の解説

たじま【田島】

福島の日本酒。酒名は、創業地の旧称「田島」に由来。精米歩合35%で仕込み、低温発酵させた大吟醸酒。平成22、23年度全国新酒鑑評会で金賞受賞。原料米は山田錦。仕込み水は蔵内の自家井戸水。蔵元の「会津酒造」は元禄年間(1688~1704)創業。所在地は南会津郡南会津町永田字穴沢。

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デジタル大辞泉プラス 「田島」の解説

田島〔広島県〕

広島県福山市、沼隈半島の南西に位置する島。面積約8.59平方キロメートル。内海大橋で本土と結ばれており、西方の横島とも睦橋で結ばれている。島東部に「クレセントビーチ」と呼ばれる三日月形の美しい砂浜があり、海水浴の好適地。

田島〔長崎県〕

長崎県西海市西彼町、亀浦郷の恵比須鼻北東に位置する無人島。1970年竣工の田島灯台がある。

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改訂新版 世界大百科事典 「田島」の意味・わかりやすい解説

田島 (たじま)

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世界大百科事典(旧版)内の田島の言及

【玄海[町]】より

…南西部は釣川が北流して玄界灘に注ぎ,これに沿って耕地が開けている。田島には海上守護の神として知られる宗像大社の辺津(へつ)宮,同社の神宮寺であった鎮国寺などがある。農漁業を主体とし,農業では,米のほか果樹,野菜,花卉栽培が盛んで,イチゴが特産である。…

※「田島」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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