日本大百科全書(ニッポニカ) 「亜硫酸ナトリウム」の意味・わかりやすい解説
亜硫酸ナトリウム
ありゅうさんなとりうむ
sodium sulfite
亜硫酸ソーダともよばれる。硫化鉱や硫黄(いおう)の燃焼によって生じた二酸化硫黄を、炭酸ナトリウムまたは水酸化ナトリウム水溶液に吸収させて製造する。最近では硫黄分の多い燃料の燃焼ガス中に含まれる二酸化硫黄を、公害防止対策として、アルカリ溶液に吸収させることが行われており、またフェノール類製造時にも副生する。37℃以下で濃縮すると七水和物(無色、単斜晶系)が結晶し、これを加熱、脱水すると無水和物(無色、六方晶系)が得られる。七水和物は不安定で、33.4℃以上で無水和物に転移する。いずれも水によく溶け、アルカリ性を呈するが、アルコールには溶けない。強い還元性を示す。合成繊維の染料の製造、チオ硫酸ナトリウムの製造原料、皮革のタンニン溶解剤、染色助剤、漂白剤、写真現像定着助剤、医薬などに用いられる。また、公害防止の回収品や副生品はパルプ用蒸解剤として大量に使用される。
[鳥居泰男]