食潰(読み)くいつぶす

精選版 日本国語大辞典 「食潰」の意味・読み・例文・類語

くい‐つぶ・す くひ‥【食潰】

〘他サ五(四)〙
かんでつぶす。かみつぶす。
蜻蛉(974頃)上「くひつぶしつべき心ちこそすれとや言はざりし」
収入もなく食いへらす。他人の厄介になって食べたり、財産をへらしたりする。
歌舞伎阿国御前化粧鏡(1809)序幕「先づ二三年は食ひつぶし、やうやう去年あたりから芸者一疋」
③ 財産を使いはたす。
※雑俳・柳多留‐初(1765)「喰つぶすやつに限って歯をみがき」
安愚楽鍋(1871‐72)〈仮名垣魯文〉二「口に美食をこのみ終に夫の身上食倒(クヒツブ)すぢゃて」

くらい‐つぶし くらひ‥【食潰】

〘名〙 食物を残らず食べてしまうこと。また、遊び暮らして財産などを全部失ってしまうこと。また、そのような人をののしっていう語。徒食祿盗人
浮世草子・猿源氏色芝居(1718)二「さては女で御ざるか、くらいつぶしの跡からあとまで世話のたねを」
※滑稽本・風来六部集(1780)放屁論後編「春さきの華臍魚(あんかう)と目出度き御代の侍は段々に値が下り、工農商の三民に養れる素餐(クラヒツブシ)の様に思はれ」

くい‐つぶし くひ‥【食潰】

〘名〙 他の厄介になって食っていること。財産をなくしてしまうこと。また、その人。
※浮世草子・世間娘容気(1717)六「親も一生喰(クヒ)つぶしの娘と算用して」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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