日本大百科全書(ニッポニカ) 「食用昆虫」の意味・わかりやすい解説
食用昆虫
しょくようこんちゅう
人間が食料として利用する昆虫をいう。未開の時代には昆虫は人間の食物として、手近で数も多く、重要なタンパク源であったと思われる。現在でも原始的な生活をしているアフリカ、オーストラリア、ニューギニアなどの種族だけでなく、東南アジアでは種々の昆虫やクモなどが食用に売買されている。日本でもイナゴやクロスズメバチの幼虫は食用としてよく知られているが、長野県などの山間地ではコオロギ、セミ(おもに幼虫)、トンボやカゲロウなどの水生の幼虫、タガメ・ゲンゴロウ・ガムシや、メイガ・コウモリガ・ボクトウガ・イボタガなどガの幼虫、カイコ・カミキリムシ・ミツバチ・スズメバチ・アシナガバチなどの幼虫と蛹(さなぎ)、そのほかが食用とされた。また、長野県伊那(いな)地方ではカワゲラやトビケラなど水生の幼虫をザザムシとよび佃煮(つくだに)にして販売している。
[中根猛彦]