食糧安全保障(読み)しょくりょうあんぜんほしょう

百科事典マイペディア 「食糧安全保障」の意味・わかりやすい解説

食糧安全保障【しょくりょうあんぜんほしょう】

戦争,異常気象,政治的理由による輸入制限,農産物国際価格の急変動などの事態に備え,中長期的取決めに基づく輸入や備蓄などによって,一国内あるいは世界規模で食糧を安定的に確保しようとする考え方。FAO国連食糧農業機関)では〈人々すべてが常時必要とする基本的食料に物理的経済的に確実にアクセスできること〉と定義している。日本では1980年に農政審議会が出した答申〈80年代の農政の基本方向〉の中で初めて公式に使われ,1999年7月成立の食料・農業・農村基本法においては食料政策骨子の一つとして位置づけられている。1995年のFAO50周年記念シンポジウム,1996年の世界食糧サミットでも食糧安全保障の必要性と方向が示された。しかし,農産物輸出国においては食糧輸出が外交上の取引材料となっており,南北間における食糧供給の不均衡は改善されていない。
→関連項目アグリ・ミニマム

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