世界食糧サミット(読み)せかいしょくりょうサミット

百科事典マイペディア 「世界食糧サミット」の意味・わかりやすい解説

世界食糧サミット【せかいしょくりょうサミット】

1996年11月,史上初めて世界規模で食糧問題論議するためにローマで開かれた国連主催の会議FAO国連食糧農業機関)に加盟する170以上の国の代表が参加し,途上国における飢餓,先進国と途上国間での食糧供給の不均衡などの問題を討議した。〈すべての人の飢餓から解放される権利と,安全で栄養豊かな食糧を入手する権利〉を宣言し,8億人を超す世界の飢餓人口を2015年までに半減させる行動計画を策定した。 行動計画は,伝統的作物の生産拡大,農村の環境改善,人材開発,農村女性の地位向上,WTO世界貿易機関)加盟国のウルグアイ・ラウンド合意完全実施などからなる。ただし,食糧貿易の自由化を求める米国など食糧輸出国,国内生産を重視する日本などのアジア諸国,援助を要求する途上国の主張が対立し,飢餓人口半減のための具体策を提示するには至らなかった。一方で,O-157狂牛病の発生,遺伝子組換え食品の普及などの問題が取り上げられ,食品の安全性をめぐる世界的論議を推進した。
→関連項目食糧安全保障

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「世界食糧サミット」の意味・わかりやすい解説

世界食糧サミット
せかいしょくりょうサミット
World Food Summit

世界の食糧問題をテーマにした世界初の国際会議。国連食糧農業機関 (FAO) の設立 50周年を記念する会議で,1996年 11月,FAO全加盟国が参加して本部のあるローマで開催された。会議では,発展途上国の食料不足や飢餓,さらに食料需給関係のアンバランスといった課題のほか,食糧の安全保障達成をめぐるに問題について討議された。

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