飯山トンネル(読み)いいやまとんねる

日本大百科全書(ニッポニカ) 「飯山トンネル」の意味・わかりやすい解説

飯山トンネル
いいやまとんねる

北陸新幹線飯山―上越妙高(じょうえつみょうこう)間の長さ2万2225メートルの複線鉄道トンネル。掘削断面は約77~104平方メートルで、2015年(平成27)3月開業の北陸新幹線(長野―金沢間)では最長である。1998年(平成10)着工、2007年貫通。

 長野県飯山盆地と新潟県高田平野の間の東頚城(くびき)丘陵南端部にあたる標高300~800メートルの山地を貫く。この山地の主稜(しゅりょう)は千曲(ちくま)川に沿った北北東方向の尾根であり、地層フォッサマグナの東縁に位置することから褶曲(しゅうきょく)構造を幾重にも示し、多くの断層帯および地すべり帯を有している。トンネルの平面線形(路線の平面的な形状)はほぼ北北西の方向で、南坑口は飯山市にあり、新潟県妙高(みょうこう)市を経て北坑口は上越市にある。トンネルの中央に半径5000メートルの曲線が2か所、北坑口付近に半径4000メートルの曲線が1か所ある。縦断勾配(こうばい)は南坑口から約4.8キロメートルの位置を頂点とし、南側は30~2‰(パーミル)の勾配となり、北側は30~3‰の勾配となっている。

 施工方法はコンクリート吹付けとロックボルト併用による山岳NATM(New Austrian Tunneling Method)工法で、全区間とも機械掘削工法とした。地山(じやま)(掘削前の自然状態地盤)が膨張性を示す区間がトンネル全体の約5割、高圧湧水(ゆうすい)区間が約4割、可燃性ガスを湧出する区間が約7割を占め、極めて難易度が高く、工事は困難を極めた。

[吉川大三]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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