日本大百科全書(ニッポニカ) 「首(古代の姓)」の意味・わかりやすい解説
首(古代の姓)
おびと
古代の姓(かばね)の一つ。「おひと(大人)」の意で、有勢者に対する尊称に起源する。首は、地方の部民(べみん)の統率者、地方の屯倉(みやけ)の管理者、一部の県主(あがたぬし)や稲置(いなぎ)、帰化人の後裔(こうえい)などに賜姓されたが、これらはいずれも中小豪族であった。首姓は220余氏を数えるが、八色(やくさ)の姓(かばね)(684年制定)の賜姓にあずかったのは忌部首(いんべのおびと)ら4氏にすぎない。757年(天平宝字1)に聖武(しょうむ)天皇の諱(いみな)(実名)の首を避けて毗登(びと)に改められたが、770年(宝亀1)に元に復した。
[前之園亮一]
『太田亮著『全訂日本上代社会組織の研究』(1955・邦光書房)』▽『阿部武彦著『氏姓』(1966・至文堂)』
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