賜姓(読み)しせい

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

賜姓
しせい

天皇が皇族貴族武士などの功績に対して姓を賜うこと。古代からあったと思われ,平安時代には盛んに行われた。特に,姓を与えられて臣籍に下った皇族を賜姓皇族と呼び,後世公家あるいは武士として発展した。

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世界大百科事典 第2版の解説

しせい【賜姓】

古代日本における一種の称号である(かばね)を朝廷が賜うこと。氏(うじ)名を賜うことも含めて賜姓という場合がある。《日本書紀》における賜姓の初見は,垂仁天皇23年11月条の〈敦く湯河板挙に賞す。則ち姓を賜ひて鳥取と曰ふ〉とある記事。以後,賜姓の例は多いが,姓を賜ることによって,朝廷における身分秩序の確立をめざした政策は天武天皇の時代にはじまった。681年(天武10)4月,錦織造小分(にしこりのみやつこおきた)ら14人に(むらじ)の姓を賜ったこと,683年9月と10月に,倭直(やまとのあたい)など52氏に連の姓を賜ったことは,684年10月の八色(やくさ)の姓の制定と真人(まひと),朝臣(あそん),宿禰(すくね),忌寸(いみき)などの賜姓がなされる前段階の施策であり,これによって姓による身分秩序が確立した。

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大辞林 第三版の解説

しせい【賜姓】

古代、無姓の臣下や渡来人、また臣籍降下した皇族が天皇から姓を賜ること。また、その姓。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

賜姓
しせい

古代日本において無姓の民や渡来人に姓が新たに与えられたり、地位の変化などによって姓が改められること(姓が改められる場合は改賜姓という)。姓とは広義にはウジ(氏)も含むため、賜姓にはカバネ(姓)のみが与えられる場合とウジ・カバネが与えられる場合とがある。本来は大和(やまと)朝廷のもとでその出自や朝廷での職掌に応じて大王から賜姓が行われ、その姓が朝廷内での序列をなした。しかし、姓による身分秩序が確立したのは八色(やくさ)の姓(かばね)の制定(684)であり、ここでは天皇との血縁・系譜に基づいて真人(まひと)、朝臣(あそん)、宿禰(すくね)などのカバネが賜姓された。これらのカバネが諸氏族の家格や政治的地位を象徴していたため、8、9世紀には朝臣などのより高いカバネへの改賜姓が頻繁に行われ、約1200例が確認できる。また渡来人や奴婢(ぬひ)の解放、僧侶(そうりょ)の還俗(げんぞく)、皇親の臣籍降下などによる新たな賜姓もみられる。これらの賜姓は個人ないし数名に限定され、一族全員に及ぶことはほとんどなかった。しかし奈良末~平安初期には氏姓の混乱が問題化し、また地方豪族への高い賜姓や、氏の一部が分化して独自の賜姓を受けたり、逆に有力な姓への統合などがみられ、賜姓の意味も形骸(けいがい)化した。[佐藤宗諄]

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世界大百科事典内の賜姓の言及

【姓氏】より

…在原氏が王氏のために設けた奨学院,橘氏の学館院,和気氏の弘文院といった氏の院の名はよく知られている。 奈良時代以来,氏の改姓は絶えなかったが,平安時代の初めからは皇子の臣籍降下に際しての賜姓もしばしば見られた。これら王氏の氏姓としては,平朝臣・源朝臣が著名であった。…

※「賜姓」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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