首引・頸引(読み)くびひき

精選版 日本国語大辞典 「首引・頸引」の意味・読み・例文・類語

くび‐ひき【首引・頸引】

[1] 〘名〙 (「くびびき」とも)
遊戯の一種。二人が向き合い、輪にしたひもを両者の首にかけわたして互いに引き合うもの。くびっぴき。
花園天皇宸記‐文保三年(1319)二月一五日「今日於女院御方勝負事〈略〉或双六或目増也。為興及頸引・目競
② 男女交合の一態。①のように、互いの首にひもをかけて行なうもの。
※浮世草子・男色大鑑(1687)四「けふは首引(クビヒキ)の絵を見合せてのやりくり」
③ 互いに競いあうこと。
狂歌・雅筵酔狂集(1731)春「齢与松頸引(クビヒキ)、子日万年春」
④ 入札で、価格を競うこと。〔和英語林集成(初版)(1867)〕
※歌舞伎・三人吉三廓初買(1860)四幕「己も宵から枕と首引だ」
[2] 狂言。各流。鎮西八郎為朝印南野(いなみの)で鬼に出会い、姫鬼と腕押しなどの勝負をしたうえ、さらに大勢の鬼どもを相手に首引きの仕合いをして、そのいずれにも勝つ。くびびき。

くびっ‐ぴき【首引・頸引】

〘名〙 (「くびひき(首引)」の変化した語)
※雑俳・川柳評万句合‐宝暦一二(1762)義四「首引(くびッぴキ)八瀬の男はへいこうし」
② ずっと、ある一つの物と対して、それを放さないでいること。くびひき。
※歌舞伎・四天王楓江戸粧(1804)二番目「その代りには酒と首っ引き、どんな強い上戸でも、へこむのぢゃアねえ」
※思出の記(1900‐01)〈徳富蘆花〉四「字引と頸っ引で」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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