馬伝染性貧血(読み)うまでんせんせいひんけつ(その他表記)equine infectious anemia

改訂新版 世界大百科事典 「馬伝染性貧血」の意味・わかりやすい解説

馬伝染性貧血 (うまでんせんせいひんけつ)
equine infectious anemia

ウマ,ロバ,ラバなどウマ属に馬伝染性貧血ウイルスRetroviridaeが感染して慢性の貧血をおこす伝染病。いったん感染すると一生治ることはない。病原ウイルスは発症中の血液,分泌液中に主として存在するが,アブなどの吸血昆虫による媒介も重要視される。従来は担鉄細胞の検出と貧血の度合で診断されたが,近年開発された馬白血球培養法で採取したウイルスを抗原として,スライド上の寒天平板におけるゲル内沈降反応による方法が診断的価値が高い。予防ワクチンはまだ応用可能なものがなく,化学療法も成功したものはない。早期摘発と殺処分が賢明である。
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百科事典マイペディア 「馬伝染性貧血」の意味・わかりやすい解説

馬伝染性貧血【うまでんせんせいひんけつ】

ウマ,ロバ,ラバなどウマ属がかかるウイルスによる敗血症性の病気。高度の貧血と高熱を伴う急性型もあるが,貧血と再帰性の発熱を繰り返す慢性型のほうが多い。不治家畜法定伝染病の一つで,病馬は摘発屠殺(とさつ)される。戦前は日本で年間9000頭もの発生を数えたが法によりすべて殺処分され,現在のところ国内での発生はない。原因となるウイルスは人のエイズウイルス近縁と考えられ,エイズの重要な疾患モデルとされる。
→関連項目ウイルス病

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