翻訳|mule
哺乳(ほにゅう)綱奇蹄(きてい)目ウマ科の動物。家畜の雌ウマと雄ロバの間に生まれる一代雑種である。起源は明確ではないが、紀元前7世紀のメソポタミアの壁画にラバと思われるものが登場している。体がじょうぶで粗食に耐え、よく働くので、平地での輓(ばん)用や、荒れ地や山地での荷物や人間の運搬用に現在でも活用されている。体形は、頭部と前躯(ぜんく)はロバ的で耳も長いが、たてがみはロバより長い。後躯はウマ的で、尾も基部から長毛がある。体高は1.5~1.7メートルである。体色は暗色のものが多い。ラバどうしでは繁殖力がないため、繁殖用のロバとウマが必要となるが、それらも使役に活用しながら、現在もラバを生産させている。日本では需要がないため生産されず、飼育もまれである。
[祖谷勝紀]
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… シマウマの雄とウマの雌の交配によって生まれたものをゼブロースといい,その逆の場合をホーブラという。ロバの雄とウマの雌の間の第1代雑種をラバ(正式にはラ(騾))といい,交配に用いるウマの品種,ロバの大小により種々のものができるが,いずれも体が強健で粗放な飼養管理に耐え,持久力があるので地中海沿岸諸国や中国,中南米諸国で使役に用いられている。繁殖力はないものが多いが,雌には繁殖力を有するものがときに生まれる。…
…また雑種は不稔(不妊)性を示す場合もある。その好例はウマを雌親としロバを雄親として交配した一代雑種のラバである。ラバは生活力が旺盛で病気にも強く粗食にも耐え,古くから労役に使われてきて雑種強勢を示すが,完全不妊のためラバから子孫をうることはできない。…
…前者の場合,生じた個体は原則として不稔である。異種間受精で個体形成に至る例としては,雌ウマと雄ロバの間に生ずるラバmule,雌ロバと雄ウマとの間に生ずる駃騠(けつてい)hinnyが有名である。そのほか,ヒョウの雄とライオンの雌の間に生じたレオポンや,ライオンの雄とトラの雌の間に生じたライガー,またはトラの雄とライオンの雌の間にできるタイゴンの誕生もときおり報道される。…
…その結果,集団の遺伝的変異性が増大し,また雑種第1代には雑種強勢(ヘテローシス)の現象が認められる。異系交配の例としてはウシとヤギュウの雑種キャタロ(属間雑種)やウマとロバの雑種ラバ(種間雑種)なども作出され利用されているが,これらは繁殖力を欠いていて1代限りである。品種間の交配を一般に交雑といい,二つの繁殖集団のもつ遺伝子が一つの集団にもち込まれることになるので,新品種を育成する場合の遺伝的変異の豊かな基礎集団をつくるためにしばしば行われる。…
…陸上輸送,海上輸送の順でこの問題をみてみよう。 7世紀から19世紀前半までの陸上輸送はキャラバン(隊商)が最も一般的な形式であった。これは駄獣に荷を積み,人を乗せて一団を組んで移動していく集団輸送のことをいう。…
…ポアトー(Poitou ass)はフランス原産の大型種で,体色は黒色または黒灰色。ふつうドンキーdonkeyと呼ばれ,ラバの生産用として利用される。アジアノロバは家畜化されていない。…
※「ラバ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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