馬渡埴輪製作遺跡(読み)まわたりはにわせいさくいせき

日本歴史地名大系 「馬渡埴輪製作遺跡」の解説

馬渡埴輪製作遺跡
まわたりはにわせいさくいせき

[現在地名]勝田市馬渡 向野

那珂川に注ぐ支流本郷ほんごう川のつくる谷津の両岸台地にある。窯跡は南から北に延びる水田が東方に曲がる地点の西側台地一帯のA地区に九基、東北方に延びる台地の南側のB地区に二基、その反対側のC地区に三基があり、さらにA地区には住居跡・工房跡・粘土採掘壙、B地区には工房跡・捨場・粘土採掘壙、C地区には工房跡が発見され、一大生産遺跡であった。粘土採掘壙はA地区の北西方に多く分布する。

窯跡はすべて埴輪窯で、平均全長七―八メートル、中央幅一・五―二メートルの長楕円形を呈する登窯で、窯底の傾斜角は二四度前後を示す。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

国指定史跡ガイド 「馬渡埴輪製作遺跡」の解説

まわたりはにわせいさくいせき【馬渡埴輪製作遺跡】


茨城県ひたちなか市馬渡にある埴輪(はにわ)製作遺跡。那珂(なか)川の支流である本郷川水系にあり、谷津に臨む低い台地に接する山林内に所在。1965年(昭和40)からの発掘調査によって、細長い水田に臨む台地の3ヵ所(A・B・C地区)から埴輪窯跡14基、工房跡12基、住居跡2軒、粘土採掘坑19ヵ所以上、埴輪捨て場2ヵ所が発掘された。遺跡から2kmほどの距離に笠谷古墳群、虎塚古墳群、長堀古墳群などがあり、埴輪の供給先とも考えられている。古代東国の埴輪生産のあり方を究明するうえで重要な遺跡であることから、1969年(昭和44)に国の史跡に指定され、1985年(昭和60)に追加指定された。1975年(昭和50)からは環境整備事業が実施され、馬渡はにわ公園として公開されている。JR常磐線勝田駅から茨城交通バス「馬渡」下車、徒歩約5分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

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