駆立・狩立(読み)かりたてる

精選版 日本国語大辞典 「駆立・狩立」の意味・読み・例文・類語

かり‐た・てる【駆立・狩立】

〘他タ下一〙 かりた・つ 〘他タ下二〙
① (獲物などを、手に入れるために)さがし出して、追い立てる。
※新撰六帖(1244頃)二「草に入る疲れの鳥をかりたてよかた野のみ野は今日暮れぬとも〈藤原知家〉」
② (意志に反して)無理に行動させる。ある行動をするように、無理に追いやる、し向ける。
平家(13C前)四「国には国司にしたがひ、庄には預所につかはれ、公事雑事にかりたてられて」
蟹工船(1929)〈小林多喜二〉三「水夫や火夫も狩り立てられて、〈略〉走り廻ってゐた」
③ (馬、乗物などを)さかんに走らせる。無理やり走らせる。
※永日小品(1909)〈夏目漱石火事「蒸汽喞筒(ポンプ)が来た。退(の)かぬものは悉く敷き殺すぞと云はぬ許(ばかり)に人込の中を全速力で駆り立てながら〈略〉馬の鼻面を坂の方へ一捻(ひね)りに向直した」
④ 何かに対する気持を勢いづかせる。
※あの道この道(1928)〈十一谷義三郎〉二「それ以外に、もっとひどい力が、ぐんぐん僕を駆りたてるのだ」

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