コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

蟹工船(読み)かにこうせん

朝日新聞掲載「キーワード」の解説

蟹工船

1929(昭和4)年に発表された小林多喜二の代表作。実際の事件を題材に、北海道の冷たい海上でカニ漁や缶詰め加工を強いられる労働者が、暴力による支配に立ち向かう様を描いた。作品発表の2年後、日中戦争などにつながった満州事変が起きたが、多喜二はこの作品で、帝国主義国家の「国策」と企業と軍との関係をあぶり出した。格差社会が言われる中、昨年若者の共感を呼び、文庫版が50万部以上売れた。

(2009-02-26 朝日新聞 朝刊 三重全県 1地方)

出典 朝日新聞掲載「キーワード」朝日新聞掲載「キーワード」について 情報

デジタル大辞泉の解説

かに‐こうせん【×蟹工船】

北洋でカニ漁を行う母船。漁獲したカニを船中で缶詰に加工する設備をもつ。蟹母船。 冬》
[補説]書名別項。→蟹工船

かにこうせん【蟹工船】[書名]

小林多喜二の小説。昭和4年(1929)発表。厳しい労働条件に苦しむ蟹工船の労働者たちが、団結して闘争に立ち上がる。プロレタリア文学の代表的作品。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

世界大百科事典 第2版の解説

かにこうせん【蟹工船】

小林多喜二の中編小説。1929年(昭和4)5~6月の《戦旗》に発表。同年9月戦旗社刊。蟹工船の実態を暴き,労働者たちの階級意識の目覚めを描いた作品。昭和の初め,日本帝国海軍の保護を受けながら,オホーツク海に進出していた蟹工船は,実は資本家が法外な暴利をむさぼるために低賃金で労働者たちをかり集め,過酷な強制労働による搾取を続ける奴隷工場であった。悲惨な極限状況の中で,追いつめられた労働者たちが階級意識に目覚め,団結して闘争に立ちあがっていく過程を集団群像として描いている。

出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報

大辞林 第三版の解説

かにこうせん【蟹工船】

漁獲したカニを船中ですぐに缶詰に加工する設備のある船。カニ母船。

かにこうせん【蟹工船】

小説。小林多喜二作。1929年(昭和4)「戦旗」発表。綿密な調査をもとに、タラバガニ漁の蟹工船における未組織労働者の階級闘争を描いたプロレタリア文学の代表作。

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

今日のキーワード

鑑定留置

被疑者・被告人が精神障害などで刑事責任能力を問えない可能性がある場合に、精神・心身の状態を鑑定するため、被疑者・被告人を病院などの施設に留置すること。捜査機関が裁判所に請求し、認められた場合に、期限を...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android

蟹工船の関連情報