骨無(読み)こちなし

精選版 日本国語大辞典 「骨無」の意味・読み・例文・類語

こち‐な・し【骨無】

〘形ク〙 (「こち」は「骨」の呉音)
無作法である。ぶしつけである。無礼である。
源氏(1001‐14頃)手習「ことなしび給ふを、しひて言ふも、いとこちなし」
② 無骨である。不風流である。洗練されていない。体裁悪い
大鏡(12C前)二「日高くまたれ奉りて参り給ひければ、少し骨なくおぼしめさるれど」
[補注]中世以降に用例が見られる「ぶこつ(無骨)」は「こちなし」を漢字で表記したことによって生じた語と考えられる。
こちな‐げ
〘形動〙
こちな‐さ
〘名〙

ほね‐なし【骨無】

〘名〙
① あたかも身体を支える骨がないように、姿勢を保つことができない状態。特に、支持筋の筋力低下ないし麻痺(まひ)を示す疾患、すなわち、先天性筋無緊張症、進行性筋萎縮症筋無力症多発性神経炎など。
※内科秘録(1864)一三「身体軟弱にして之を抱くに、頭傾き、或は垂れて正しきことを得ず、骨の無きやうに見ゆるゆゑ、俗にほねなしと云ふ」
② 気骨・節操・主義など、自分を強く支え貫くようなものをもたないこと。また、その人。
三十二番職人歌合(1494頃)一八番「我ながらおぼつかなしや骨なしの何を力に世をわたるらん」

こつ‐な・し【骨無】

〘形ク〙 =こちなし(骨無)
※金刀比羅本平治(1220頃か)中「侍、『とくめし候へ』とてをしあげたり。こつなくやをしたりけむ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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