改訂新版 世界大百科事典 「多発性神経炎」の意味・わかりやすい解説
多発性神経炎 (たはつせいしんけいえん)
polyneuritis
多数の末梢神経が系統的に侵される病気。原因はいろいろで,遺伝,アレルギー,中毒,代謝異常,栄養障害,悪性腫瘍,膠原(こうげん)病などがある。神経症状は一般に四肢に左右対称性に現れ,その末端部に強く,手袋や靴下でおおわれる部位に一致した障害(手袋・靴下型障害)を示すことが多い。さらに脳神経領域の障害を伴うこともある。知覚異常,運動麻痺や皮膚温の低下,つめの変形などの自律神経障害を生ずるが,その現れ方は原因によりさまざまである。治療および予後も原因により異なるが,副腎皮質ステロイド剤などの薬物療法と急性期の安静,回復期のリハビリテーションが基本となる。ギラン=バレー症候群は,若年男子に多い運動障害を主体とした多発性神経炎の一つであり,上気道感染などの前駆症状を伴うことが多い。数ヵ月以内に症状は回復し,予後はよい。
→ニューロパチー
執筆者:楠 進
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報