高力アルミニウム合金(読み)こうりょくアルミニウムごうきん(英語表記)high strength aluminium alloy

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「高力アルミニウム合金」の意味・わかりやすい解説

高力アルミニウム合金
こうりょくアルミニウムごうきん
high strength aluminium alloy

熱処理によって高強度が得られるアルミニウム Al合金総称。 Al-Cu-Mg系の JISA2017 (ジュラルミン) ,A2024 (超ジュラルミン) ,Al-Cu-Zn-Mg系の A7075 (超々ジュラルミン) などが伝統的合金として知られる。これらの合金を改良して靭性を向上させたものに A7050合金などがある。新しい合金としては,密度の低下と弾性率の上昇を目的としてリチウム Liを添加した 2090,X8090合金などが開発されている。すべて顕著な時効硬化性をもち,引張り強さは,軟質材で 215MPa以下であるが,時効後は 370~540MPaに達する。素材に鍛錬性があるので,板,棒,管として航空機,機械部品,スポーツ用品として広く使われる。ただし耐食性がやや悪く,また粒界腐食 (→金属の腐食 ) による時期割れ欠点があるので,JIS2014,2024,7075のものはアルクラッドとして心材に使われる。この場合,皮材はだいたい 99%程度の純アルミニウムに近い材料を用いる。なお,超々ジュラルミンは,1940年に旧日本海軍で ESD合金の名称で軍用機材として開発され,第2次世界大戦後アメリカが自国で旧アルコア記号 75Sとして規格化したものである。 ESDは extra-super duraluminの頭文字であった。

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