日本大百科全書(ニッポニカ) 「靭性」の意味・わかりやすい解説 靭性じんせいtoughness 材料の粘り強さ。材料に力を加えると初めは弾性的に変形し、その後、塑性(外力を除いても元の形に戻らない性質)的に変形し、局部収縮がおこり、ついに破断する。この間に費やされたエネルギーが大きいほど靭性が大きいという。靭性は強さと塑性変形能(延性)の積と考えればよい。一般に部材の表面に欠陥があるともろい破壊がおこるが、靭性の大きい材料でできた構造物は壊れにくい。一般に強い材料は延性が小さい。強さのみでなく靭性の大きさ(強靭)が構造用材料に要求される。[須藤 一][参照項目] | 延性 出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
岩石学辞典 「靭性」の解説 靭性 材料の粘りの強さ,すなわち外力に抗して破壊されにくい性質.靭性が大きいためには,亀裂の進展が遅く,高い極限強さとともに塑性,延性がなければならない[長倉ほか : 1998].岩石のような結晶の集合体では転位などの欠陥による破壊は,単一結晶粒の中は伝播しても隣接する結晶粒の状態によってはそれ以上は進まず,全体として靭性をもつことがあるので,単一結晶粒の知識は必ずしも岩石の変形や破壊には当てはまらない.セラミックスではZrO2などの物質を添加して相転移を利用して破壊の伝播を防ぐ方法で靭性をもつ材料を作る場合がある. 出典 朝倉書店岩石学辞典について 情報