正規化、規準化ともいう。抽象的なベクトル空間でベクトルの大きさ(ノルムとよぶ)を1にするように適当な数(規格化定数という)を掛ける手続をいう。量子力学では、1個の粒子のふるまいを波動関数Ψ(x,y,z,t)で表すことが多いが、その場合|Ψ(x,y,z,t)|2dxdydzは、時刻tにその粒子を位置(x,y,z)のところの微小領域dxdydz内にみいだす確率に比例する。そこでこの確率を全空間で積分したもの
が1になるように、あらかじめ波動関数に適当な数を掛けておくと便利なので、この手続を規格化という。関数は、ヒルベルト空間とよばれる無限次元空間のベクトルの一つの表現とみなすことができるので、波動関数を使わない量子力学の一般的な形式でも、粒子のふるまいを表す状態ベクトルというものは、ノルムが1になるように規格化することが多い。多粒子系の場合でもまったく同様である。
[小出昭一郎]
…ただし,|ψt(r)|2dvを全空間にわたって寄せ集めた値は1になるようにしておくのである。必要ならψtの大きさを全空間で一定の倍率で縮小または拡大するわけで,これを規格化という。時刻tに観測が行われ,粒子が位置r=aに見いだされた上は,もう一度その直後に粒子の位置を観測するとr=aとほとんど違わない結果になる。…
※「規格化」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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