自然科学、社会科学、医学、工学、経営・管理などの分野で高度な知識や技術をもつ外国人の総称。「高度外国人材」とよばれることもある。国内の資本・労働と補完関係にあり、代替することができない良質な人材で、持続的な経済成長、生産性の向上、労働市場の効率化に欠かせない人々である。おもに、有能な外国人の受入れに積極的な諸外国政府が使用している用語である。すでにイギリス、オランダ、カナダ、オーストラリア、韓国、台湾などでは、高度人材の学歴や職歴などに応じてポイントをつけ、合計ポイントが一定水準を超えた外国人を認定・優遇する制度を導入済みで、高度人材のグローバルな獲得競争が起きている。人口減少対策を迫られる日本では、「出入国管理及び難民認定法」などを改正して2012年(平成24)5月から高度人材のポイント制を導入し、2015年には高度専門職という高度人材向けの在留資格を設けた。
日本の高度人材ポイント制は、研究・教育、自然科学・人文科学、経営・管理の3分野において、在留資格のある外国人を対象に、学歴、職歴、年収、企業内でのポスト、日本語能力などを基準に100点満点でポイントを計算し、70点を超える外国人を高度専門職(高度人材)という在留資格で認定するものである。高度専門職は1号と2号に分かれ、まず在留期間5年の高度専門職1号に認定される。高度専門職1号は3年(ポイント80点以上なら1年)で永住許可を得られるほか、入国・在留手続きの簡素化・優先処理、配偶者の就労許可、親や家事使用人の帯同許可などの優遇措置を受けられる。高度専門職1号取得から3年以上たてば、在留期間に制限がない高度専門職2号となり、一般的な就労活動を自由にできるようになる。2018年6月時点で高度人材の認定外国人数は累計1万2945人で、日本政府は2022年までに2万人を目標としている。
[矢野 武 2019年5月21日]
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