出入国管理及び難民認定法(読み)シュツニュウコクカンリオヨビナンミンニンテイホウ

デジタル大辞泉 の解説

しゅつにゅうこくかんりおよびなんみんにんてい‐ほう〔シユツニフコククワンリおよびナンミンニンテイハフ〕【出入国管理及び難民認定法】

入国管理法

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日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

出入国管理及び難民認定法
しゅつにゅうこくかんりおよびなんみんにんていほう

日本への出入国手続き、外国人在留資格難民認定手続きなどを定めた法律(昭和26年政令第319号)。日本の難民条約への加盟に伴い、1982年(昭和57)に従来の出入国管理令を改正して本法令とした。略称は「入管法」「入管難民法」。有効な旅券(または乗員手帳)をもたない外国人は日本に入国できず、在留資格を満たさなければ在留できない。在留資格は在留期間就労の有無・内容によって外交、高度専門職、経営・管理、研究、教育、医療、介護、技能実習、報道、短期滞在、留学、永住者、日本人の配偶者など活動や地位を類型化した36種類あり、2019年(平成31)4月から、特定技能と一定の日本語力をもつ「特定技能1号」(在留期間5年、更新不可、家族帯同不可)と、より熟練した技能をもつ「特定技能2号」(繰り返し更新可能、家族帯同可能)が加わった。難民は、申請を行えば法務大臣から認定を受け保護される。また、迫害を受けるおそれのある国への難民の送還禁止(ノン・ルフールマンの原則)が規定された。2019年4月に法務省外局として出入国在留管理庁(入国管理局改組・拡充)を設け、審査・管理体制を強化するとともに、外国人の生活支援や受入れ環境の整備を進めている。

 グローバル化の進展、日本の人口減少、インバウンド(訪日外国人観光客)の増加、不法入国・就労者の増加などに対応するため、出入国管理及び難民認定法は頻繁に改正されている。1989年(平成1)改正で、在留資格に医療、教育、法律などの専門的・技術的分野を加えて受入れを拡大し、2009年改正では、外国人登録制度を廃止し外国人への在留カード交付を始めるとした。2012年改正では、高度専門職を対象に高度人材ポイント制度を導入し、学歴や年収などに応じて一定以上のポイントを取得した者に永住権を認めるなどの優遇措置を設けた。2018年改正では、外国人就労者を「特定技能1号」として農業、漁業、建設業、造船業、介護、飲食料品製造、外食、宿泊業など単純労働を含めた14業種、「特定技能2号」として建設業と造船・舶用工業の2業種への受入れをそれぞれ想定している。在留外国人数(2018年6月末時点)は約263万人、うち外国人雇用者数(2018年10月末時点)は約146万人で、政府は特定技能資格の新設で、2019年から5年間で新たに約30万人の外国人を受け入れる計画である。

[矢野 武 2019年5月21日]

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百科事典マイペディア の解説

出入国管理および難民認定法【しゅつにゅうこくかんりおよびなんみんにんていほう】

出入国者の公正な管理と難民認定手続を整備するための法律(1951年)。かつては出入国管理令と称した。外国人の入国・上陸・在留・出国・退去強制,日本人の出国・帰国などに関して規定。初めはポツダム緊急勅令に基づく政令だったが,1952年対日平和条約発効日からは法律としての効力をもつようになった。1982年,在留資格の変更,再入国制度の自由化をはかり,在日朝鮮人の特例永住許可制度を定め,また難民条約(日本は1981年加入)の趣旨に適合するよう改正が行われ,名称も現在のように変更された。アジアなどからの外国人の多量の流入が1980年代後半から続いており,1989年の改正で,あらゆる外国人を〈就労可〉と〈就労不可〉に二分し,前者については専門知識を有する者への枠を拡大し(職種を18種から28種に拡充),後者については,いわゆる〈単純労働〉の場合は従来どおり外国人の入国・滞在を認めず,不法入国者に対する取締りを強化し,不法入国者を雇用した雇用主に対する罰則規定(3年以下の懲役または200万円以下の罰金)を新設した。1997年の改正では,集団密航者の不法入国を援助する行為に対する処罰規定が設けられ,さらに99年には,(1)不法入国または不法上陸後に本邦に在留する行為に対する不法在留罪を新設(2)日本からの退去を強制された者に対する上陸拒否期間を1年から5年に伸長(3)再入国許可の有効期間を「1年を超えない範囲内」から「3年を超えない範囲内」に伸長する,という改正が行われた。2009年の改正では,(1)従来の外国人登録法による登録制度を廃止し,入管法のもとでの入国管理と在留管理を一元化し3ヵ月を超える合法的在留外国人に「在留カード」を交付(2)外国人研修,技能実習制度を見直し,労働法令を適用(3)在留資格の「就学」を「留学」に一本化するとした。→入国管理局外国人登録法
→関連項目外国人外国人労働者難民亡命

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

出入国管理及び難民認定法
しゅつにゅうこくかんりおよびなんみんにんていほう

昭和26年政令319号。入管法と略称される。日本国に入国しまたは日本国から出国するすべての人について適用され,出入国の公正な管理と難民認定手続の整備を目的とする。初めはポツダム緊急勅令(→ポツダム命令)に基づいて制定された政令(出入国管理令)であったが,「ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く外務省関係諸命令の措置に関する法律」により,1952年4月28日以降,法律としての効力を有する。外国人の入国,上陸,在留,出国,退去強制,日本人の出国,帰国,船舶などの長および運送業者の責任について規定する。1981年,難民の地位に関する条約の批准に際して大幅に改正され,永住条件を緩和し,名称も現在のものになった。さらに,1980年代の外国人労働者の増加に伴い,1989年に外国人の在留資格制度と入国審査手続の簡便・迅速化,外国人の不法就労取り締まり強化を目的とした改正が行なわれた。また難民については諸外国に比べて認定数が極端に少ないことから,2004年に大幅な改正案が成立。入国から原則 60日以内とされていた難民申請期限を撤廃し,不認定の異議審査に第三者による難民審査参与員が関与する制度を設けるなどの見直しを行なった。一方で,不法滞在者の罰金を引き上げ,強制退去者の再入国拒否期間を延長するなど,悪質な不法滞在に対する罰則は強化された。2012年からは中長期在留者に在留カードを公布する制度が開始され,これに伴って外国人登録法が廃止された。(→出入国管理難民難民認定

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世界大百科事典(旧版)内の出入国管理及び難民認定法の言及

【出入国管理】より

…その後30年の間,出入国管理令は改正されなかったが,1980年代になって,国際交通の発達,日本の経済的地位の向上等の時勢の変化に対応するため,在留資格を整備し,在留資格の変更・再入国制度の自由化をはかり,在日韓国・朝鮮人の特例永住許可制度を定め,退去強制事由等を国際人権規約に適合するようにし,また難民条約(難民)の批准にともない,条約の趣旨を実現するための改正が行われた。名称も〈出入国管理及び難民認定法〉(1982公布)となった。
[現行制度]
 同法は,本邦に入国し,または本邦から出国するすべての人の出入国の公正な管理について規定することを目的とする(1条)ので,国民と外国人双方の出入国が対象となる。…

※「出入国管理及び難民認定法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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