大学事典 「高等教育計画」の解説
高等教育計画
こうとうきょういくけいかく
高等教育機関の規模や編成について計画的整備を図ることを目的とした計画。日本では1960年(昭和35)頃から進学率が向上し,高等教育の規模が急激に拡大していくにつれて,教育条件の低下,大都市への過度の集中,進学機会の地域間格差などの問題が出現し,高等教育の計画的整備の必要性が認識されるようになった。1976年に高等教育懇談会が取りまとめた「昭和五十年代前期高等教育計画」がその最初の試みであった。その後も,5~7年間を区切りに同様な計画が立案され,高等教育の量的拡大あるいは抑制,教育研究条件の改善,地域配置の適正化等の観点から高等教育の計画的整備が図られてきた。すでに昭和50年代から,工業等制限区域など政令指定都市では大学の新増設が抑制されてきた。18歳人口がピークに達して減少に転じた1992年(平成4)以降は,計画的な整備目標を設定する方式を転換して,大学等の新増設は原則抑制する方針が示された。2000年頃からは,大都市での抑制が弾力化され,大学の大都市回帰(日本)や都心サテライト・キャンパス設置等の傾向も見られている。
著者: 斉藤泰雄
出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報