朝日日本歴史人物事典 「高階遠成」の解説
高階遠成
生年:天平勝宝8(756)
平安初期の官人。延暦24(805)年,遣唐判官として入唐し,翌年10月,留学生橘逸勢 と留学僧空海らを伴って帰国した。遠成の出立は2年前に派遣された遣唐大使藤原葛野麻呂らの帰国した直後で,しかも突然の派遣であり,おそらく中国に残った遣唐使たちを迎えるためであったと思われる。これは長安で学んだ密教の本義を早く日本に伝えたいと思っていた空海に特に幸いした。逸勢と空海から帰国を依頼されて皇帝に提出した遠成の上申書が『旧唐書』『新唐書』に収められている。なお遠成は在唐中の元和1(806)年1月,中国の官職「中大夫,試太子允」を賜っている。帰国復命の日に従五位上を授けられ,以後主計頭,民部少輔などを歴任した。
(瀧浪貞子)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報