日本大百科全書(ニッポニカ) 「高齢者見守りサービス」の意味・わかりやすい解説
高齢者見守りサービス
こうれいしゃみまもりさーびす
独居や夫婦のみの高齢者世帯を対象に、日々の健康状態や安否を確認し、異常を感知した場合には、職員が訪問したり救急機関へ通報するサービスの総称。一般的には、事業者が高齢者世帯に専用のセンサーを設置しておき、センサーとの通信によって高齢者の安否確認を行う。センサーは、毎日欠かさず使用するガスのメーターや冷蔵庫、トイレや電気ポットなどに取り付ける。高齢者が活動することによってセンサーが反応すれば家族や契約事業者に電子メールで連絡が入り、無事が確認できるしくみになっている。一方、一定時間センサーの反応がない場合には、見守り先の高齢者と連絡をとり、状況に応じた対応をする。また、見守り先の高齢者が体調に異変を感じた場合には、緊急用のボタンなどを押すだけで自動的に設置者につながり、助けをよぶことができるサービスもある。センサーを設置せずに携帯電話のGPS(全地球測位システム)や歩数計を利用して活動状況を確認する割安なものや、おもに警備会社などが提供する、定期的に警備員が訪問し、必要があれば掃除や洗濯、買い物などを手伝うといった付帯サービスがあるものなど、事業者によりサービスの内容は多様である。高齢者と離れて暮らす家族からの需要が大きく、今後も成長が見込まれている分野であり、警備会社やガス会社、電機メーカー、通信会社、運送業など、多くの業種からの参入が相次いでいる。
緊急通報システムや宅配給食などを、高齢者見守り関連事業として実施する自治体もある。長野県は高齢者の孤立死を防ぐことをおもな目的として、2013年(平成25)7月に新聞配達業、電気・ガス会社などの家庭を訪問する機会の多い事業者14団体と、「地域見守り活動に関する協定」を結んだ。高齢者宅を訪れた際に異常があった場合には、事業者が市町村に連絡する。また、横浜市では、2011年に生活協同組合連合会ユーコープ事業連合と連携協定を結び、宅配事業「おうちCO-OP(コープ)」を利用する、60歳以上の高齢者がいる世帯に対し、宅配時に配達員が異変を発見した場合、あらかじめ決められた連絡先などに連絡する事業を実施している。同様の試みは多くの自治体に拡大しつつある。
[編集部]