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洗濯 せんたくlaundry

翻訳|laundry

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

洗濯
せんたく
laundry

布など繊維状のものの汚れを洗い落とす作業。普通,水を使って衣類や夜具などを洗うことをさし,ガソリンその他の有機溶剤で行なう洗濯はドライクリーニングとして区別する(→クリーニング業)。古代から洗濯は人間の生活一部分として確立し,もみ洗いやなど,形式はほとんど変わっていない。ただ中世頃から灰汁や特定の木皮などの補助洗剤が開発され,現代では油脂石鹸,界面活性洗剤などが用いられ,能率を高めている。また,家庭での洗濯の方法も,手作業を避けて機械化されており,洗濯機が日本中ほとんどの世帯に普及している。

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デジタル大辞泉の解説

せん‐たく【洗濯】

[名](スル)《「せんだく」とも》
衣服などを洗って汚れを落とすこと。
日常の仕事などから離れて気分を一新したり、からだの疲れをいやしたりすること。「命の洗濯

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世界大百科事典 第2版の解説

せんたく【洗濯】

衣類の汚れをとるために洗い,すすぐこと。英語ではランドリーlaundryウォッシングwashingクリーニングcleaningなどと使われるが,現在では水を用いる洗濯をランドリー,水以外の溶剤を使用する洗濯をドライクリーニングというように使われている。 洗濯は人類が衣服を着用するようになったときから始まった。その動機としては以下の六つの理由が考えられる。(1)宗教上の理由で,古代エジプトヘブライのように,汚れた衣服を着用すると神罰を受けるという畏怖心からであった。

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大辞林 第三版の解説

せんたく【洗濯】

( 名 ) スル
〔古くは「せんだく」〕
衣服などを洗って汚れを落としきれいにすること。 「川で-する」
わだかまりや苦労を捨てさっぱりすること。 「命の-」

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

洗濯
せんたく
laundry

衣類などについた汚れを洗い落とすこと。古くは洗濁(せんだく)ともいい、女性の仕事として長い間家事労働の大きな部分を占めてきたが、家庭電化による電気洗濯機の普及、新しい化学繊維や新洗剤の出現などにより、洗濯に費やす時間と労力は著しく合理化された。[落合 茂]

歴史

洗濯は、衣服が着捨ての段階を経たのち貴重価値を生じるにつれて始められたが、最初の動機は宗教心に発していた。体を水に清める沐浴(もくよく)と同様、古代人は穢(けがれ)も罪悪や災害と等しく罪とみなして、神の前で清潔であることに努めた。『旧約聖書』のモーゼが、シナイ山で十戒を授かる前に人々に衣服を洗わせたのも、あるいは倭姫命(やまとひめのみこと)が裳(たばかま)の汚れを洗ったという故事から五十鈴(いすず)川(三重県伊勢(いせ)市)が御裳(みもすそ)川とよばれたのも、この神前潔斎の現れである。また中国では司馬遷(しばせん)の『史記』に、父母に仕える道として倫理的動機から洗濯を行ったとあり、同じように主君への清廉潔白を表すものとして、鎌倉時代の武士はつねに洗濯の手入れの行き届いた衣服を着用した。
 ホメロスの『オデュッセイア』には、美しい川辺の洗い場で女たちが洗濯をし、乾くまでの間、水浴、食事、まり遊びなどをしているようすが描かれている。また『常陸国風土記(ひたちのくにふどき)』(713~715)には、湧(わき)井戸のほとりで村の女たちが遊び楽しみながら洗濯をする記述があるように、古代人にとって川は自然の水道、浴槽であり、洗濯も沐浴もまず水辺から始まった。原始的な洗濯は、川の流れにさらす方法から泉、沼、井戸の汲(く)み水を使って浸す方法へと変わった。やがて、浸すだけでは汚れが落ちにくいところから、手や足の操作によるもみ洗い、振り洗い、踏み洗い、さらに木の棒や石などの自然物を利用するたたき洗い、押し付け洗い、板もみ洗いなどが加わった。また水を加熱することにより洗浄力が高まることを知ってからは、煮洗いや蒸し洗いも行われるようになった。紀元前200年ごろのものといわれるエジプトのベニ・ハッサンの岩墓(がんぼ)壁画には、布をたたき、踏み、すすぎ、絞り、乾かすという洗濯作業のようすが描かれている。古代エジプトでは洗濯ということばの象形文字が、水の中の2本の足で表現されていたことから、当時は踏み洗いが一般的な洗濯方法であったことがわかる。
 洗濯場が屋内に移ったり、屋外の井戸端が使われるようになると、西洋では洗濯桶(おけ)wash tubが、日本ではたらい(手洗いの意)が登場した。桶とたらいの相違は立ち居と座居の生活様式の差からきており、また衣服そのものが曲線的な仕立てで丸洗いを必要とする洋服と、直線的な仕立てで解き洗いができる和服との違いにも由来している。日本では、かがんだ姿勢のたらい洗いが長く続いたが、たらいの出現は平安時代で、当時の扇面古写経には井戸端での足踏み洗いがよく描かれている。これは当時の衣料繊維が太かったためで、平安末期から鎌倉・室町時代の絵巻物になると、たらいでの手もみ洗いのほうが多くなっている。さらに室町時代には、染師が洗い張りや伸子(しんし)張り仕上げを兼業した。町人階級が台頭する江戸時代になると、洗濯のきく木綿が庶民の衣料となって洗濯の普及を促した。洗濯を職業とする者が現れると、江戸では洗濯屋(丸洗い)、京都では洗い物屋(解き洗い)とよばれた。[落合 茂]

洗濯の原理

洗濯の方法には、洗剤を用いての水洗い(湿式洗濯)と、溶剤によるドライクリーニング(乾式洗濯)があり、家庭で行われるのはほとんどが湿式である。また衣料につく汚れは大きく分けて、乾性(ごみや土砂など)、水性(汗など)、油性(化粧品や食用油脂など)の三つに分けられる。洗濯によって汚れが除去される原理は、もんだりたたいたりする物理的作用と、洗剤によって汚れを水に溶かす化学的作用によるものとがあり、この二つが併用されている。
 乾性の汚れはブラシなどで取り除き、水性の場合には水の溶解性を利用して水洗いする。せっけんや洗剤の溶けた水は表面張力が低いので、布地の繊維に速やかに浸透して汚れをふやかし、汚れを除きやすくする。また水に親しみにくい油性の汚れは、乳化作用によって小さい粒子に分散し、繊維の表面から取り除かれる。さらに洗濯物を振り動かす物理的な作用が加わり、これら浸透、吸着、乳化、分散の洗浄作用が促進される。[落合 茂]

洗剤

洗濯にはせっけん、合成洗剤、アルカリ剤、ドライクリーニング溶剤などが使われているが、古くは酸性白土や砕いたルピナスの実、植物の灰や灰汁(あく)などが一般に用いられ、とくに水の乏しい地方では砂が洗濯に用いられていた。ポンペイの遺跡のせっけん工場跡からわかるように、1世紀ごろのローマではすでにせっけんがつくられていた。そして12世紀ごろにはイタリア、スペイン、およびフランスのマルセイユでせっけん業がおこり、それから15世紀にかけてヨーロッパ各地に広がった。日本では古くからサイカチ、ムクロジの実、灰汁、米のとぎ汁、澡豆(そうず)(アズキの粉)などが洗濯に用いられ、なかでも灰汁がおもに使われていたことは浮世絵などからわかる。シャボン(せっけん)は16世紀に南蛮船によってもたらされたが、当時はおもに薬用にあてられ、一般に洗濯に用いられるようになったのは1877年(明治10)前後に国産せっけんが出回るようになってからのことである。
 せっけんは綿や麻製品などには適しているが、硬水や冷水では効果が低下し、また羊毛や絹などのアルカリに弱い布の生地(きじ)や色合いを損なうという欠点がある。そこで、それらの不都合を補うような中性の合成洗剤、つまり高級アルコール硫酸塩とよばれる高級アルコール系洗剤が、1928年に初めてドイツで開発、工業化された。ついでアルキルベンゼンスルホン酸ソーダ(ハード型ABS)を主成分とする石油を原料としたソープレスソープが、1930年代にアメリカで工業化されたが、これは分解されにくく、しかも廃水が河川の発泡などの汚染を招くため、さらに生分解されやすいアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(ソフト型LAS)へと転換された。また洗剤には洗浄促進剤(ビルダー)としてリンが配合されていたが、閉鎖性湖沼の富栄養化問題から、無リン洗剤が開発された。このほか洗濯補助剤として洗濯ソーダ、ケイ酸ソーダ、セスキ炭酸ソーダ(炭酸水素ナトリウムと炭酸ソーダの結合したもの)、アンモニア水、酸類、柔軟剤としてロート油(トルコ赤油)、グリセリンなどが用いられている。
 衣料用洗剤は水素イオン濃度(pH)により、軽い汚れを対象とする中性の軽質洗剤(ライトデューティー)と、ひどい汚れを対象とする弱アルカリ性の重質洗剤(ヘビーデューティー)に分けられる。軽質洗剤はアルカリに弱い毛や絹、あるいはアセテートなどのおしゃれ着用に、重質洗剤は木綿や麻、レーヨン、ビニロンなどの実用着用にと、繊維の性質や汚れの程度によって使い分ける必要がある。なお、カルシウムやマグネシウムなどの塩分を多く含む天然の水は、雨水や水道の水に比べてせっけんの溶けぐあいも泡立ちも悪く、洗濯に適さない。[落合 茂]

家庭での洗濯

家庭での洗濯は次の手順で行うのが合理的である。(1)分類―洗濯物を種類、繊維、汚れの多少などにより分類する。(2)水つけ―洗濯前に水または微温湯(ぬるまゆ)につけて、汚れ落ちをよくする。(3)下洗い―本洗い前に水またはアルカリ剤液中で下洗いする。(4)本洗い―汚れや繊維に応じた洗剤による洗濯で、手洗いと機械洗いがある。洗濯機洗いは汚れが均一にとれるが、手洗いは汚れのひどい部分や布地の強弱によって加減ができる。(5)すすぎ―吸着した洗剤を除去するため、少なくとも3回以上水をかえてすすぎを行う。ためすすぎと流しすすぎがある。(6)脱水―手絞りと遠心分離機による方法がある。(7)乾燥―自然乾燥と人工乾燥がある。自然乾燥で黄変、変退色するものは直射日光を避ける。人工乾燥は天候に左右されずに短時間で乾燥できるので、日照の不十分な地域や、煤煙(ばいえん)などで空気汚染が著しい場合に便利である。(8)仕上げ―アイロンを使うが、毛や化学繊維には布1枚をあてがってかけるとよい。和服地を解き洗いしたものは板張りや伸子(しんし)張りにする。そのほか、漂白剤による漂白、蛍光染料による増白、糊(のり)つけなどがある。[落合 茂]

洗濯のいろいろ

おもな洗濯の方法には次のようなものがある。(1)もみ洗い―木綿や麻の白地物に適する。(2)こすり洗い―洗濯板にこすりつけて洗うので、弱い布地には適さない。(3)刷毛(はけ)洗い―とくに汚れのひどい部分や、もみ洗いのできない部分に行う。(4)つかみ洗い―布地を痛めない方法で、絹、毛、化繊に適する。(5)押し付け洗い―洗濯板の上に手のひらで押し付けては離す動作を繰り返す方法で、組織の弱いレーヨンや毛に適する。(6)振り洗い―手で自由に洗えないような、生地がじょうぶで大きな物に適する。(7)踏み洗い―毛布などの大きなものを風呂桶(ふろおけ)やコンクリート床で踏んで行う。(8)たたき洗い―たたき棒などで洗剤をつけながらたたいて洗う。(9)へら洗い―汚れのひどい足袋(たび)底などを、洗剤液をつけたへらでしごいて洗う。(10)熱湯洗い―熱に耐えられる白木綿や麻などを純白に仕上げるために行う。[落合 茂]

営業洗濯

家庭洗濯に対して、洗濯業者が行うものをいう。洗濯業者の出現はローマ時代にまでさかのぼり、13世紀のイギリスにはすでに業者のギルド(組合)が、19世紀の西欧諸国には公共洗濯所が設けられていた。揮発性溶剤を用いて衣料の汚れを落とすドライクリーニングは、1847年フランスのブレンがベンゼンによる無水洗濯法を発表後、ヨーロッパ各地に普及した。
 日本では洋服の普及とともに西洋洗濯屋が登場し、明治末年からドライクリーニングが始まった。日本の洗濯業界はほとんどが、水を用いるランドリーと、溶剤を用いるドライクリーニングの兼業で、約4万7300軒(1999年度)を数えるが、その多くは従業員4人以下の小規模なもので、大工場は数社にすぎない。また、洗濯業務を行わない取次店は約11万5700軒である。さらにホテルや病院が自営する付属洗濯工場のほかに、ホテルやレストランにシーツやユニホームなどを賃貸するサービス業として、リネンサプライ業がある。
 工場洗濯の作業工程は次のとおりである。(1)マーキング―品物に客の名札をつける。(2)分類―洗濯方式に応じて、繊維の素材や加工、染色により分類する。(3)洗濯―回転洗濯機で水、洗剤、助剤を用いて洗う。(4)脱水―高速回転の遠心分離機で水を絞り取る。(5)プレス仕上げ―プレス機を用いての仕上げで、乾燥を兼ねているため脱水したものをそのままプレスする。ワイシャツ、作業衣、白衣、浴衣(ゆかた)、ズボンなどに用いる。(6)ロール仕上げ―蒸気で加熱された曲面上に、横に回転するローラーの間を通して仕上げるもので、シーツ、テーブルクロスなど平らなものに用いる。(7)アイロン仕上げ―古くは仕上げといえばアイロン仕上げが大部分であったが、現在はプレス機だけでは不十分な部分の補助手段として、あるいは足袋やカラーなどの小物仕上げに用いる。(8)キャビネット型ワイシャツ仕上げ―ワイシャツを型に着せ、胴部分を蒸気加熱した熱板で両面からプレスする装置で、袖(そで)や肩をプレスする機械を組み合わせてユニットにしたものを使い、能率的に仕上げる。(9)乾燥。(10)検査。(11)整理。(12)発送。[落合 茂]

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