鳥なき里の蝙蝠(読み)とりなきさとのこうもり

精選版 日本国語大辞典 「鳥なき里の蝙蝠」の意味・読み・例文・類語

とり【鳥】 なき=里(さと)[=島(しま)]の蝙蝠(こうもり・こうぶり・かわほり)

  1. すぐれた者のいない所ではつまらない者が幅をきかすたとえ。
    1. [初出の実例]「大方才覚もなかりけれとも、鳥なき嶋の鳥鼠(カハホリ)にてゆつる方なくて、をしはからいてそしける」(出典:米沢本沙石集(1283)六)

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ことわざを知る辞典 「鳥なき里の蝙蝠」の解説

鳥なき里の蝙蝠

本物がいない所で、にせ物がはばをきかせることのたとえ。

[使用例] 一生懸命に教えている中に、半年ほど経つと、人が学校の下の少年先生というようになった。お弟子も大分来てくれるようになり、私は昼間は箏を教えて、夜は鳥なき里のこうもりとでも言おうか、私の下手な尺八をおじさんたちに教えていた[宮城道雄古巣の梅|1949]

[解説] すぐれた者がいないところでは、つまらない者がわが物顔をしていばることを、主に白昼活動する鳥と、暗くなってから活動するコウモリにあててたとえたもの。コウモリが獣でもなく、鳥でもないものとして、一段低く見られ、にせもの扱いされる例は、世界の民話にも少なくありません。江戸中期の「五十句たとへかるた」には、里を飛ぶコウモリの絵が描かれています。

[類句] 鼬の無き間の貂誇り

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