日本歴史地名大系 「鳥谷野村」の解説 鳥谷野村とやのむら 福島県:福島市荒川南岸地区鳥谷野村[現在地名]福島市鳥谷野郷野目(ごうのめ)村の南、阿武隈川左岸に沿い、東対岸は小倉寺(おぐらじ)村、南は黒岩(くろいわ)村、西は太平寺(たいへいじ)村。村名について、野鳥が群居したので初め塒野(とやの)と称し、のち今の文字に改めたと伝える(信達二郡村誌)。天文七年(一五三八)の段銭古帳に「御はんの所」のうちとして「とやの」とみえ、段銭は四貫五〇〇文。中世には川俣(かわまた)(現川俣町)方面からの街道の渡河点にあたる仲之内(なかのうち)に隣接する館(たて)に鳥屋野(とやの)館が築かれた。仲之内は交通の要衝であり、これを掌握する目的であろう。仲之内の北一キロの下宿(しもじゆく)も中世の宿場町であったとみられる。伊達氏天文の乱中の天文一三年九月頃「鳥屋野」は大森(おおもり)要害とともに伊達稙宗方に確保されていた(伊達正統世次考)。仲之内のほか杉之内(すぎのうち)・道光内(どうこううち)など中世在家であったとみられる「内」つきの地名が阿武隈川の段丘上に連なり、その北に下宿がある。これらを結ぶ道が中世における重要な役割を果したとみられる。 出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報 Sponserd by