鴻池新田会所跡(読み)こうのいけしんでんかいしょあと

国指定史跡ガイド 「鴻池新田会所跡」の解説

こうのいけしんでんかいしょあと【鴻池新田会所跡】


大阪府東大阪市鴻池元町にある会所跡。この地は元来、葛城(かつらぎ)山系に源をもつ旧大和川の氾濫原に当たり、1704年(宝永1)に江戸幕府による大和川付け替え改修工事が完成するまでは治水できる場所ではなかったが、豪商として名高い鴻池家が旧大和川の河床や池床を新田として開発。大和川の付け替え工事によってできた新田のなかでも最大の面積を誇る。1705年(宝永2)、鴻池家3代目、善右衛門宗利が開発請負人から名義を譲り受け、工事を開始し、1707年(宝永4)に完工し、鴻池新田の名が与えられる。同時に新田を管理するための会所が設けられて新田支配人が置かれた。会所跡は、江戸時代の困難な新田開発、新田経営を物語る貴重な遺構であり、幕末から明治期の豪商鴻池家の隆盛を知るうえでも欠かせないことから、1976年(昭和51)に国の史跡に指定された。会所は濠をめぐらした台形状の敷地の内に、母屋門長屋・文書蔵・米蔵などを配置したもので、今もこれらの建物や濠を見ることができる。JR片町線鴻池新田駅から徒歩約5分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

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