精選版 日本国語大辞典 「鵝珠」の意味・読み・例文・類語 がしゅ【鵝珠】 [ 1 ] 鵝鳥の飲み込んだ珠、の意。宝玉をみがいていた珠師が、乞食の比丘のために食を取りに行っている間に、鵝鳥が玉を呑んだ。比丘は鳥が殺されるのを哀れんで、事実を言わなかったので、玉のないのに驚いた珠師は、比丘を疑って責め打ち、その血を飲みに来た鵝鳥をも怒りにまかせて殺した。比丘は鳥の死によって、鳥に代わって死んでもよいと決意したことも無意味になったと告げ、珠師は鳥の腹から出た玉を見て、泣いて懺悔したという「大荘厳論経」の話。[ 2 ] 〘 名詞 〙① 仏戒にたとえていう語。「鵝珠をみがく」の形で仏戒を堅く守る意にいう。[初出の実例]「滅後軌範、木叉為レ師。所下以賊縛比丘、脱二草繋於王遊一、乞食沙門、顕中鵝珠於死後上」(出典:光定戒牒‐弘仁一四年(823)四月一四日)「智覚禅師と云人は〈略〉鵝珠常に磨て浄戒を耀かす道人也」(出典:三国伝記(1407‐46頃か)二)② 銭貨の異称。鵝眼(ががん)。鳥目(ちょうもく)。[初出の実例]「宗祇法師蟻緑一壺、鵝珠千文、土器物等持来之」(出典:実隆公記‐明応六年(1497)正月三日) 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例