実隆公記(読み)サネタカコウキ

デジタル大辞泉 「実隆公記」の意味・読み・例文・類語

さねたかこうき【実隆公記】

三条西実隆日記文明6年(1474)から天文5年(1536)に至る自筆本現存応仁の乱後の幕府朝廷動向公家私生活などを知ることができる。

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精選版 日本国語大辞典 「実隆公記」の意味・読み・例文・類語

さねたかこうき【実隆公記】

  1. 室町時代後期の公卿三条西実隆の日記。記事は文明六年(一四七四正月から天文五年(一五三六二月にわたる。博学を以て知られ、公家にも武家にも重んぜられた実隆の日記で、朝廷や幕府を中心とする政治史の好史料であるとともに、当時の文化のありようを知る上でも重要。

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百科事典マイペディア 「実隆公記」の意味・わかりやすい解説

実隆公記【さねたかこうき】

室町時代後期の公家である三条西(さんじょうにし)実隆の日記。自筆本105軸42冊2包が東京大学史料編纂所に所蔵される。記事は1474年から1536年に及ぶ。内容は,応仁(おうにん)・文明の乱から戦国争乱という混乱の時代にあって,公家の日常生活から戦国大名とのやりとりなどまでが記述される。実隆は宗祇(そうぎ)から古今伝授(こきんでんじゅ)を受けたことでも知られ,当時の著名な文化人として日記の中でも文学・芸能面に言及しており,政治社会・文化などを知るうえで貴重な史料とされている。自筆本の料紙として,多くの手紙などの裏面を使用していることから,料紙に見える紙背(しはい)文書も史料的価値が高い。

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改訂新版 世界大百科事典 「実隆公記」の意味・わかりやすい解説

実隆公記 (さねたかこうき)

室町時代の公家三条西実隆の日記。1474-1536年(文明6-天文5)の62年間の記載がある。当該時期は応仁・文明の乱以降のいわゆる戦国時代の真っただ中にあり,また記述内容も詳細にわたっているので,この時期における政治,社会,文化を知るうえで質・量ともに貴重な資料ということができる。また自筆本の料紙として多量の手紙等の裏を再利用しているので,紙背文書も資料としての価値が高い。内容は,公家の日常生活から所領支配の実態,朝儀から社会情勢までと多岐にわたる記載があり,収入を確保するための戦国大名とのやりとりなど興味深い記事が多い。実隆は和漢の学や有職故実に深い知識をもち,さらに当代一流の能書家でもあったうえに飯尾宗祇からは古今伝授も受けるなど,文化人としても有名でその交際範囲も広く,戦国期における文学,芸術についてもよくわかる好資料である。自筆本は105軸42冊2包が東大史料編纂所に現存する。続群書類従完成会刊。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「実隆公記」の意味・わかりやすい解説

実隆公記
さねたかこうき

内大臣三条西(さんじょうにし)実隆の日記。1474年(文明6)より1536年(天文5)に至るまで、途中一部欠失はあるものの自筆の原本が残っている。三条西家は正親町(おおぎまち)三条家の庶流で、公家(くげ)としては中の上といったランクであったが、実隆は学識豊かで和漢の学に通じ、歌人、能書家としても知られていた。天皇や将軍の信任が厚く、当時勢力を伸長してきた地方武士らとも交流があった。日記は応仁(おうにん)の乱(1467~77)後の政治・社会情勢、三条西家の経済状態を知りうる記事が多く、貴重な史料であるが、さらに多くの人々からきた手紙の裏を利用して記されているため、公家・武家をはじめ連歌師ら芸能人など、彼の交友範囲にある300余人の手紙を伝えている点でも貴重である。自筆本は東京大学史料編纂(へんさん)所に架蔵されており、それを基にした活字本が続群書類従完成会から刊行されている。

[桑山浩然]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「実隆公記」の意味・わかりやすい解説

実隆公記
さねたかこうき

室町時代の日記。三条西実隆著。 60巻余。文明6 (1474) 年 20歳から死の前年の天文5 (1536) 年 82歳まで 62年間にわたる。漢文体。室町時代後期の最高の公家文学者であった実隆が,朝廷の儀式をはじめ,学問,文芸,社会の各方面にわたって詳細に記した日記で,当時の文化,文学や社会生活を知る貴重な資料。

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旺文社日本史事典 三訂版 「実隆公記」の解説

実隆公記
さねたかこうき

室町後期,三条西実隆の日記
1474〜1536年まで,63年間書きつづけられた。内容は戦国争乱期の政治・社会・文化など各方面にわたり,室町時代後半の最も貴重な史料。

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世界大百科事典(旧版)内の実隆公記の言及

【三条西実隆】より

…《大内問答》《多々良問答》は公家の有職故実にあこがれた大内義興・義隆父子との問答集である。第3の功績は,この時代の政治・社会から実隆周辺の文化史上の動向まで,1474年(文明6)から1536年(天文5)にいたる63年間にわたってくわしく書きつがれた日記《実隆公記》をのこしたことである。なお実隆にはほかに《高野山参詣日記》などがある。…

※「実隆公記」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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