鶏卵素麺(読み)ケイランソウメン

デジタル大辞泉 「鶏卵素麺」の意味・読み・例文・類語

けいらん‐そうめん〔‐サウメン〕【鶏卵素麺】

糖蜜の中に卵黄をそうめん状に細く流し入れて固めた菓子博多銘菓

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精選版 日本国語大辞典 「鶏卵素麺」の意味・読み・例文・類語

けいらん‐そうめん‥サウメン【鶏卵索麺】

  1. 〘 名詞 〙 福岡県博多の名物菓子。糖蜜を沸騰させてその中へ鶏卵黄身をそうめん状に突き出し、固まったものを三〇センチメートルぐらいの長さに切りそろえたもの。江戸時代に明国人から製法習い江戸幕府にも献上されたという。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「鶏卵素麺」の意味・わかりやすい解説

鶏卵素麺
けいらんそうめん

福岡市博多(はかた)の名物菓子。祇園山笠(ぎおんやまがさ)で知られる櫛田(くしだ)神社所蔵の『博多津要録』によれば、この菓子の創製は1671年(寛文11)である。この年10月15日、博多呉服町の豪商大賀(おおが)家は、自邸の書院落成に福岡藩主黒田光之(みつゆき)を招いて、茶うけに鶏卵素麺を進上した。仕法の妙を嘉賞(かしょう)した光之は、創作者である大賀家番頭、松屋利右衛門を召し出し、福岡藩御用菓子司を申しつけた。利右衛門は、長崎で点心に長じた明(みん)国人から製法を習得したと伝えられている。鶏卵素麺の製法は、氷砂糖を糖蜜(とうみつ)として沸騰(ふっとう)させ、その中に卵黄をところてんのように突き出す。生(なま)の黄身は突き出されると同時に熱でそうめん状に固まる。これを引き上げて冷まし、30センチメートルほどの長さに切りそろえる。

[沢 史生

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デジタル大辞泉プラス 「鶏卵素麺」の解説

鶏卵素麺

福岡県福岡市の名物菓子。砂糖を煮たてて作った蜜の中に卵黄を細く流し入れて素麺状に固め切り揃えたもの。

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世界大百科事典(旧版)内の鶏卵素麺の言及

【卵】より

…玉子はすは〈カラシれんこん〉のように,れんこんに卵黄を流し入れて蒸す。玉子素麵は,現在では鶏卵素麵と呼ばれて博多名物にもなっている菓子である。 食用に対する抵抗感,違和感が薄らぐにともない,卵は急速に食品としての重要性を増していった。…

【南蛮菓子】より

…小麦粉をはじめ,当時はまだあまり使われていなかった砂糖,鶏卵,油を多用するもので,その新しい味覚は日本人の食生活に大きな影響を与えた。多くの種類があったが,現在も盛んに作られているものにはカステラボーロ有平糖カルメラ金平糖などがあり,ほかに鶏卵をかき混ぜて熱した砂糖液の中に垂らし固める鶏卵素麵(たまごそうめん∥けいらんそうめん)は博多などの名物となっている。また,飛竜頭(ひりようず)はもち米の粉を練って油で揚げ,砂糖みつに浸すという菓子であったが,今では豆腐の加工品に変化して,がんもどきの別名となっている。…

※「鶏卵素麺」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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