糖蜜(読み)トウミツ(その他表記)molasses

翻訳|molasses

デジタル大辞泉 「糖蜜」の意味・読み・例文・類語

とう‐みつ〔タウ‐〕【糖蜜】

サトウキビなどを使って砂糖を製造するときに、糖液蒸発・濃縮させて結晶を分離したあとに残る茶褐色液体。砂糖製造の際の副産物で、主としてアルコール発酵や製パン用イースト原料、製菓材料、甘味調味料などにする。廃糖蜜モラセス
砂糖からつくった蜜。砂糖を水などに溶かし煮詰めて作る。砂糖蜜

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精選版 日本国語大辞典 「糖蜜」の意味・読み・例文・類語

とう‐みつタウ‥【糖蜜】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 砂糖を溶かした水。蜜のようになっている砂糖液。
  3. 糖液を蒸発濃縮して蔗糖(しょとう)の結晶を分離したあとの残液。蔗糖製造時の副産物で、製造過程のちがいにより種々ある。甘味料としても用いられるが、主として発酵工業で炭素源として用いられる。廃糖蜜。〔薬品名彙(1873)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「糖蜜」の意味・わかりやすい解説

糖蜜 (とうみつ)
molasses

製糖工程で,結晶析出の操作を繰り返し行った後,経済的に砂糖を回収できなくなった褐色粘稠(ねんちゆう)な最終糖液のこと。このような糖液の総称であるので,砂糖原料や製造法によって固有の名称をもっている。例えば,カンショ(甘蔗)糖工場では,1番みつ,2番みつと区別するために廃糖みつと呼ぶ。ビート糖工場では,ディスカードモラセス,さらに精製糖工場から産出する精製糖みつなどがある。

 それぞれの組成については,廃糖みつの場合,固形分76~81%(ショ糖分30~40%,還元糖分20~25%,灰分10%前後)である。これに対して,ビート糖工場の糖みつの一例は,屈折率ではかったブリックス糖度58%(ショ糖分47%,還元糖分0.3%,ラフィノース6.5%),灰分8.3%などである。精製糖みつの分析例として,糖分60~70%(ショ糖分20~30%,還元糖分30~50%),灰分5~10%などがある。

 糖みつの利用法としては,まず第1に,特殊な処理をして砂糖の回収率をさらに高めることも行われるが,一般には最も安価な発酵原料として,アルコール発酵,アミノ酸発酵クエン酸発酵,ブタノール発酵,酵母の培養などに使われている。蒸留酒の一種であるラムは,糖みつを発酵させて製造したものとして有名である。日本においても,糖みつは年間40万t程度輸入され,アルコール発酵原料,飼料用に用いられている。精製糖みつは,廃糖みつと異なり,そのまま食用にすることができるので,食用糖みつともいわれる。色調は淡黄色で粘稠な糖液であり,葛餅,安倍川餅,ホットケーキ用シロップとして用いられている。このほか駄菓子生地に練り込むとか,つくだ煮などに用いられる。糖みつの生成量は,カンショ糖の場合で,サトウキビの2.5~4%,ビート糖の場合でビート当り1%といわれている。
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百科事典マイペディア 「糖蜜」の意味・わかりやすい解説

糖蜜【とうみつ】

製糖工程において,原料糖液からショ糖を分離した残液。ふつう,糖液を何回もたきかえしたのち残った廃糖蜜のことをさすが,砂糖原料や製造法によって異なる固有の名称をもつ。黒褐色の粘液で,糖分を50〜70%も含み,アルコール製造原料のほか,飼料,菓子原料,煉瓦・練炭などの固結料とする。
→関連項目砂糖サトウキビ炭団濃厚飼料

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和・洋・中・エスニック 世界の料理がわかる辞典 「糖蜜」の解説

とうみつ【糖蜜】

①砂糖みつ。⇒砂糖みつ
②さとうきびなどから砂糖を作る際の副産物で、褐色のどろりとした液体。さとうきびの生産地でしぼり汁から原料糖を作るときと、消費地の近くで原料糖を溶かした糖液から精製糖を作るときに、糖の結晶を分離したあとに残るもの。甜菜(てんさい)の場合は原料糖の段階を経ず、切って湯に浸して糖液を作り、これを結晶と糖みつに分離する。繰り返し結晶を分離したあと、原料糖から不純物をとりのぞくのに用いるほか、甘味料、うまみ調味料やラム酒・工業用アルコールの原料、パン製造用のイーストを育てる培地などにする。近年は、バイオエタノールの原料に用いられ、新たな資源としても注目されている。◇「廃糖みつ」「モラセス」ともいう。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「糖蜜」の意味・わかりやすい解説

糖蜜
とうみつ

砂糖製造時に得られる副産物で、糖液からショ糖結晶の分離を繰り返し行ったあとの不純物を含む残液。廃糖蜜、モラセスmolassesともいう。糖蜜にはショ糖以外に無機質などが含まれ、特有の焦げ臭と茶褐色の色調をもつ。アルコールなどの発酵工業の原料、飼料、一部は駄菓子原料などに利用されている。製菓材料として、香りと色調をクッキーやケーキに加えたり、シロップとして利用することもある。

[河野友美]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「糖蜜」の意味・わかりやすい解説

糖蜜
とうみつ
refinery molasses

精糖工程の副産物で,ショ糖を分離した残液。粗糖を製造するときできる精製糖蜜と氷砂糖をつくるときできる氷糖蜜がある。淡黄色の透明な粘稠 (ねんちゅう) の糖液で,普通,水分 20~30%,糖分 60~70%,灰分5~10%,有機非糖分は2~3%。アルコール原料か菓子,ジャムの原料として使われる。

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栄養・生化学辞典 「糖蜜」の解説

糖蜜

 砂糖の製造過程で繰り返し結晶化したあとに残る糖を多く含む粘度の高い液.発酵工業などで原料として用いられたり飼料に添加される.

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