翻訳|molasses
製糖工程で,結晶析出の操作を繰り返し行った後,経済的に砂糖を回収できなくなった褐色粘稠(ねんちゆう)な最終糖液のこと。このような糖液の総称であるので,砂糖原料や製造法によって固有の名称をもっている。例えば,カンショ(甘蔗)糖工場では,1番みつ,2番みつと区別するために廃糖みつと呼ぶ。ビート糖工場では,ディスカードモラセス,さらに精製糖工場から産出する精製糖みつなどがある。
それぞれの組成については,廃糖みつの場合,固形分76~81%(ショ糖分30~40%,還元糖分20~25%,灰分10%前後)である。これに対して,ビート糖工場の糖みつの一例は,屈折率ではかったブリックス糖度58%(ショ糖分47%,還元糖分0.3%,ラフィノース6.5%),灰分8.3%などである。精製糖みつの分析例として,糖分60~70%(ショ糖分20~30%,還元糖分30~50%),灰分5~10%などがある。
糖みつの利用法としては,まず第1に,特殊な処理をして砂糖の回収率をさらに高めることも行われるが,一般には最も安価な発酵原料として,アルコール発酵,アミノ酸発酵,クエン酸発酵,ブタノール発酵,酵母の培養などに使われている。蒸留酒の一種であるラムは,糖みつを発酵させて製造したものとして有名である。日本においても,糖みつは年間40万t程度輸入され,アルコール発酵原料,飼料用に用いられている。精製糖みつは,廃糖みつと異なり,そのまま食用にすることができるので,食用糖みつともいわれる。色調は淡黄色で粘稠な糖液であり,葛餅,安倍川餅,ホットケーキ用シロップとして用いられている。このほか駄菓子生地に練り込むとか,つくだ煮などに用いられる。糖みつの生成量は,カンショ糖の場合で,サトウキビの2.5~4%,ビート糖の場合でビート当り1%といわれている。
執筆者:貝沼 圭二
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砂糖製造時に得られる副産物で、糖液からショ糖結晶の分離を繰り返し行ったあとの不純物を含む残液。廃糖蜜、モラセスmolassesともいう。糖蜜にはショ糖以外に無機質などが含まれ、特有の焦げ臭と茶褐色の色調をもつ。アルコールなどの発酵工業の原料、飼料、一部は駄菓子原料などに利用されている。製菓材料として、香りと色調をクッキーやケーキに加えたり、シロップとして利用することもある。
[河野友美]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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