黄金・金(読み)こがね

精選版 日本国語大辞典 「黄金・金」の意味・読み・例文・類語

こ‐がね【黄金・金】

〘名〙 (「くがね」の変化した語)
きん。おうごん。きがね
書紀(720)神代上(兼方本訓)「韓郷(からくに)の嶋(しま)には 是(これ)、金(コカネ)(しろかね)(あ)り」
② 金の貨幣の総称。大判小判金貨
※山家集(12C後)中「すてやらでいのちをこふる人はみなちぢのこがねをもてかへるなり」
※竹取(9C末‐10C初)「その山のそばひらを巡れば、世の中になき花の木共たてり。金・銀・瑠璃色の水、山より流れ出でたる」
※落窪(10C後)三「四部には、色々の色紙に、こがね白銀まぜてかかせ給ひて」
⑤ 落雁の一種で、黄金色をしたもの。名古屋の名物菓子で、鯱(しゃちほこ)の形に焼き上げ、金城の名にちなんで名付けたもの。

く‐がね【黄金・金】

〘名〙 (「く」は「き(黄)」と同語源。黄色の金属の意) おうごん。きん。こがね。
万葉(8C後)五・八〇三「銀も金(くがね)も玉も何せむに勝れる宝子に及かめやも」
※万葉(8C後)一八・四〇九四「善き事を はじめたまひて 久我禰(クガネ)かも たしけく有らむと 思ほして 心(した)悩ますに」
[語誌]コガネの古形。クはキ(黄)の交替形。万葉歌の「金」を古写本でコガネと訓むが、挙例の「万葉‐四〇九四」の仮名書き「久我禰」によってクガネと訓んでよいであろう。「本草和名」「観智院本名義抄」などの古辞書や「日本書紀」古訓、「竹取」以後の物語、「後拾遺集」などにはコガネが認められ、中古以降クガネは衰微し、コガネにとって代わられたとみられる。

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