小判(読み)コバン

デジタル大辞泉 「小判」の意味・読み・例文・類語

こ‐ばん【小判】

江戸時代金貨楕円形で1枚を1両とする。幕府発行の標準貨幣で、慶長小判・元禄小判・正徳小判・天保小判・万延小判などがある。→大判
紙・書物などの判の小さいもの。
アクセント1バン、2はコバン

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精選版 日本国語大辞典 「小判」の意味・読み・例文・類語

こ‐ばん【小判】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 江戸時代発行の「一両」通用金貨幣。楕円形で、表面に「壱両」と「光次」の文字、「地紙枠付桐紋」二個の極印が打刻され、裏面に年代標識印(ないものもある)、花押印、製造責任者検印などが打刻されている。形式的にはほとんど変化はないが、品位、重量、大きさなどを異にするものがあり、種類は多く、慶長小判、元祿小判、宝永小判、正徳享保小判、元文小判、文政小判、天保小判安政小判万延小判などがある。必ず一両と定まっているので、「一両小判」という呼び方は誤りであり、金貨幣であるので、「小判金」というのも正しくない。元来大判と対比する名称。
    1. [初出の実例]「小判通用之儀に付町触」(出典:徳川禁令考‐前集・第六・巻五四・延宝二年(1674))
  3. こばんがた(小判形)」の略。
    1. [初出の実例]「迷子札さ。是は何と書てございますヱ。小判(コバン)で能ネ」(出典:滑稽本・浮世風呂(1809‐13)四)
  4. 紙などの判(ばん)の小さいもの。
    1. [初出の実例]「観瀾文集にあるぞ十冊やらあるぞ小板ぞ唐本なり」(出典:玉塵抄(1563)六)

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百科事典マイペディア 「小判」の意味・わかりやすい解説

小判【こばん】

江戸時代の金貨幣の一種。大判を小型にしたもので,1枚1両をたてまえとし金貨幣の標準をなす。徳川家康が早く江戸,駿河で試造させたが(武蔵墨書小判駿河墨書小判),天下平定後の1601年(慶長6年),江戸金座をはじめ京都・駿府佐渡などで鋳造させ,全国に流通させた(慶長小判)。のち元禄・宝永・正徳・元文・文政・天保・万延など幾多の小判が発行され,一分金とともに広く使用されたが,正徳小判を除き改鋳のたびに品位は落ちた。
→関連項目一分銀一朱金慶長金銀後藤庄三郎天保金銀文政金銀宝永金銀洋銀(貨幣)

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改訂新版 世界大百科事典 「小判」の意味・わかりやすい解説

小判 (こばん)

江戸時代における金貨の一種。1601年(慶長6)徳川家康は慶長小判(1両)を鋳造し,それ以後小判は幕府貨幣のなかでも標準貨幣となった。慶長小判は後藤庄三郎光次により江戸の小判座(金座)はじめ,京都・駿府・佐渡の鋳造所でつくられた。慶長小判に先立って,家康は1595年(文禄4)武蔵墨書(むさしすみがき)小判・駿河墨書小判を鋳造し,さらに1600年に慶長古鋳小判をつくっている。古鋳小判以後,それまでの墨書が改められて極印(ごくいん)制となった。慶長小判についで1695年(元禄8)元禄小判,1710年(宝永7)宝永小判,14年(正徳4)正徳小判,36年(元文1)元文小判,1819年(文政2)文政小判,37年(天保8)天保小判,59年(安政6)安政小判,60年(万延1)万延小判が鋳造された。そのうち慶長小判・正徳小判のほかは量目・品位とも改悪され,幕府が改鋳益金の収得を目的として改鋳された場合が多い。
貨幣
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「小判」の意味・わかりやすい解説

小判
こばん

江戸時代の金貨の一つ。小形の判金の意で,1枚1両にあたり,江戸時代を通じて幕府の標準的金貨幣であった。文禄年間 (1592~96) ,徳川家康が京都の金工後藤徳乗の弟子後藤光次招き,江戸,駿府で試鋳させた武蔵判,駿河判に始るという。慶長6 (1601) 年,慶長小判が大量に鋳造されてから全国的通貨となった。慶長以後,元禄,宝永,正徳,享保,元文,文政,天保,安政,万延の各種小判が発行された。これらの新改鋳は流通上の必要性 (瑕金の回収) によることもあったが,多くは改鋳の利益 (出目) をねらって行われたので,品位,量目とも次第に落ちていった。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「小判」の解説

小判
こばん

江戸時代の計数金貨。一分金とともに幕府幣制の標準貨を構成した。1600年(慶長5)から金座で独占的に鋳造された。慶長小判から万延小判まで順次改鋳され10種が発行されたが,いずれも1枚1両の額面をもち,表にたがね目を施して「壱両」「光次(花押)」と扇面枠桐紋の極印(ごくいん),裏には花押をかたどった極印のほか,改鋳年次を表す極印もある。光次は金座後藤家の初代。慶長小判の重量は4.76匁(約18g)で重量単位の1両よりやや重かったが,宝永小判や元文小判以降軽量化され,両は完全に金貨の貨幣単位となった。慶長小判以前に徳川氏には武蔵墨書小判があり,慶長期には甲斐の松木小判,加賀の梅鉢小判などの領国貨幣が知られる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「小判」の意味・わかりやすい解説

小判
こばん

江戸幕府発行の標準貨幣。金貨で、1枚1両で通用。

[編集部]

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旺文社日本史事典 三訂版 「小判」の解説

小判
こばん

江戸時代の金貨の一つ
慶長小判から万延小判まで江戸時代を通じて10種発行された。

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世界大百科事典(旧版)内の小判の言及

【大判】より

…ついで天正16年(1588)豊臣秀吉は京都の彫金家後藤徳乗に命じて天正大判を鋳造させた。徳川家康は幣制の確立を重視し,関ヶ原の戦の翌年にあたる慶長6年(1601)には慶長大判・小判・一分金・丁銀・豆板銀の金銀貨を鋳造した。慶長大判の量目は天正大判と同じ44匁1分(165g)であった。…

【金座】より

…江戸時代の小判一分金鋳造所をいう。勘定奉行の支配下におかれていた。…

【千両箱】より

…江戸時代に1000両の貨幣を収蔵することを目的として造られた箱。千両箱は小判や一分金の25両包みが40個入れられた。大判用の千両箱もあり,安政期(1854‐60)以後には二分金用の千両箱も現れた。…

※「小判」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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