黒める(読み)クロメル

デジタル大辞泉 「黒める」の意味・読み・例文・類語

くろ・める【黒める】

[動マ下一][文]くろ・む[マ下二]
黒くする。黒色に染める。
潮風に吹き―・められ日の光りに照り―・められて」〈露伴・いさなとり〉
うまくだます。ごまかす。取り繕う。
「あとを―・めてたもれ」〈虎明狂・髭櫓
暮らしを立てる。
「あの人の身をも―・めてやりたいの念力一つで立てる身が」〈浄・丹波与作

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「黒める」の意味・読み・例文・類語

くろ・める【黒】

  1. 〘 他動詞 マ行下一段活用 〙
    [ 文語形 ]くろ・む 〘 他動詞 マ行下二段活用 〙
  2. 黒くする。黒く染める。黒くぬりつぶす。
    1. [初出の実例]「薪(たきぎ)には、蘇芳(すはう)をわりて、少し色くろめて、組して結ひたりける」(出典:落窪物語(10C後)三)
  3. 黒くしてわからなくする。まぎらし隠す。ごまかす。とりつくろう。
    1. [初出の実例]「散花の跡をくろむる茂り哉〈昌意〉」(出典:俳諧・毛吹草(1638)五)
  4. ( 「後をくろめる」の形で ) 戦いのとき、背後を固める。後方を守る。
    1. [初出の実例]「ヲノヲノ アトヲ curomesaxerareito(クロメサセラレイト) サモ タノモシゲニ」(出典:天草本伊曾保(1593)鳥と、獣の事)
  5. ( 「身をくろめる」の形で ) くらしを立てる。何とか生活のできるようにする。
    1. [初出の実例]「おのれが身をくろめんが為、年季の内にもとでをくすね、自分に小見世をはり」(出典:浮世草子・風流今平家(1703)五)
  6. ( 「座をくろめる」などの形で ) その座をとりつくろう。
    1. [初出の実例]「こりゃお前の禿衆を一寸貸して下さりませ、せめて禿衆で座敷をくろめたうござります」(出典:歌舞伎・伊達競阿国戯場(1778)大序)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android