クロ(読み)くろ(その他表記)Charles Cros

日本大百科全書(ニッポニカ) 「クロ」の意味・わかりやすい解説

クロ
くろ
Charles Cros
(1842―1888)

フランスの詩人、科学者。独学で若くして自動電信機や蓄音機を発明したが認められず、象徴派の作家ビリエ・ド・リラダン、詩人ベルレーヌらと親交があり、暗いユーモアに満ちた詩集白檀の手箱(びゃくだんのてばこ)』(1872)や、名優コクランのための独白劇など、奇才を発揮したが、貧困のなかに死んだ。息子の詩人ギ・シャルル・クロ(1879―1956)編の遺稿詩文集『野獣の爪(つめ)の首飾り』がある。

[曽根元吉]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クロ」の意味・わかりやすい解説

クロ
Cros, (Émile Hortensius) Charles

[生]1842.10.1. ファーブルザン
[没]1888.8.9. パリ
フランスの詩人,科学者。独学で特に科学を学び 14歳で大学入学資格を得,1860年化学教師になったが3年後に免職。自動電信機 (1867) ,蓄音機 (1877) などの原理を発表。また,高踏派,象徴派などの文学サークルやカフェに出入りし,その才気で知られるようになり,数冊の詩集を発表した。念入りに仕上げられたクロの詩は空想機知にあふれていたが,当時は一部の人たちに知られるのみであった。しかし 1920年代になってシュルレアリスムの詩人たちによって再評価された。主著,詩集『白檀の小箱』 Le Coffret de santal (1873) ,『川』 Le Fleuve (1874) ,『爪の首飾り』 Le Collier de griffes (1908) 。

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世界大百科事典(旧版)内のクロの言及

【ハンドウイルカ(半道海豚)】より

…ハクジラ亜目マイルカ科の哺乳類。バンドウ,クロとも呼ぶ。世界中の温帯,熱帯に分布するくちばしのある体長3.5mに達する大型イルカ。…

【室内気候】より

…また,静座しているときより,運動や重労働をしているときには,人体の新陳代謝による発熱量は多くなるので,同じ着衣なら気温は低めでよく,逆に同じ気温なら薄着が適することになる。 着衣量を表すのにクロ(Clo)という衣服の熱抵抗の単位がある。下着とワイシャツに背広を着た状態を基準として,これを1Cloといい,これは0.155W/(m2・K)の熱抵抗に相当する。…

【畦】より

…畦畔(けいはん)または〈くろ〉ともいい,耕地の周辺に設ける土手。水田では湛水(たんすい)を可能にする目的をもつが,農作業を行う場合の通り道(あぜ道)として利用されるとともに,所有地の境界の役割もはたす。…

※「クロ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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