龍島村(読み)りゆうしまむら

日本歴史地名大系 「龍島村」の解説

龍島村
りゆうしまむら

[現在地名]鋸南町竜島りゆうしま

大六だいろく村の南に位置し、西は海(浦賀水道)に面する。房総往還が通る。大六村境に浅間せんげん山があり、南の勝山かつやま村境を佐久間さくま川が西流、河口西方海域に傾城けいせい島が浮ぶ。南方、下佐久間村地を挟んで飛地(板井ヶ谷)がある。

〔中世〕

治承四年(一一八〇)伊豆石橋山合戦に敗れた源頼朝が再起を期して安房へ逃れた際、「安房国平北郡猟島」に上陸したが(「吾妻鏡」同年八月二九日条)、この「猟島」は当地のこととされる。頼朝はこのあと再起して幕府を開くことに成功、そのため頼朝の安房落ちは佳例として伝えられ、「梅松論」は足利尊氏の摂津西宮合戦での敗北、西下を記すなかで言及している。文永八年(一二七一)と推定される二階堂行氏所領配分断簡(二階堂文書)に、安房国北郡内「要島」がみえ、下尺万郷とともに万寿御前に譲られているが、この「要島」も当地であろう。このように当地は早くから海上交通上の拠点として開発、発展してきた地と推察されるが、中世後期にはその機能の大半を隣接する加知山かちやま(勝山)吉浜よしはま穂田ほたなどの地に譲ったと思われる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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