戯奴(読み)わけ

精選版 日本国語大辞典 「戯奴」の意味・読み・例文・類語

わけ【戯奴】

〘代名〙
自称。自己を卑下して用いる。
万葉(8C後)四・五五二「吾が君は和気(ワケ)をば死ねと思へかも会ふ夜会はぬ夜ふた走るらむ」
対称目下相手に対して、ののしって呼びかける表現をとりながら、親しみの情を含ませて用いる。
※万葉(8C後)四・七八〇「黒木取り草も刈りつつ仕へめど勤(いそ)しき和気(ワケ)と誉めむともあらず」
[補注]「わけ」は「若(わか)」と同語源で、未熟者、幼稚な者の意が原義かといわれる。用例は、いずれも諧謔味をもったものである。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「戯奴」の意味・読み・例文・類語

わけ【戯奴】

[代]
一人称人代名詞自分を謙遜していう語。わたくしめ。
が君は―をば死ねと思へかも逢ふ夜逢はぬ夜二走るらむ」〈・五五二〉
二人称の人代名詞。目下の相手を親しみを込めて、半ばののしるようにいう語。おまえ。そち。
「―がためが手もすまに春の野に抜ける茅花つばなそ召して肥えませ」〈・一四六〇〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

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