鷲塚湊(読み)わしづかみなと

日本歴史地名大系 「鷲塚湊」の解説

鷲塚湊
わしづかみなと

[現在地名]碧南市鷲林町

矢作川下流に開けた港。鷲塚は、この地が入海であった中世の頃から矢作川改修工事の行われた近世にわたって交通の要地であった。「信長公記」に「三河の国端に土呂・佐座喜・大浜・鷲塚とて、海手へ付て然るべき要害富貴にて人多き湊なり」とある。

寛政一〇年(一七九八)に鷲塚・大浜おおはま高浜たかはま(現高浜市)平坂へいさか(現西尾市)の港から江戸通いの船は二八艘、うち鷲塚湊は三艘を数える。これらの船は船番組を組織して城米の運搬に当たったが、幕府領の年貢米を江戸に回漕する港は、御馬おんま(現宝飯郡御津町)と鷲塚湊に限られた。設楽したら上下津具かみしもつぐ(現北設楽郡津具村)稲橋いなはし(現北設楽郡稲武町)など幕府領の米は、矢作川を舟で下り、鷲塚湊で廻船に積替えられて江戸に送られた。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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