8050問題(読み)はちまるごーまるもんだい//はちじゅうごじゅうもんだい

共同通信ニュース用語解説 「8050問題」の解説

8050問題

ひきこもりが長期化し、周囲から孤立したまま、親が80代、本人が50代といった状態に陥る問題。親の年金が頼りで生活に困窮し、介護病気障害といった複合的な課題を抱えているケースもある。「親亡き後」の子どもの生活をどうするかも課題。行政縦割りをなくし、一括して相談対応できるよう、市区町村を財政面で支援する改正社会福祉法が2021年4月から施行された。

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知恵蔵 「8050問題」の解説

8050問題

80代の親とひきこもり状態の50代の子が同居する世帯の孤立化・困窮化に伴うさまざまな問題。全般に社会との接点が少なく、高齢の親が無収入の子を預貯金や年金で支えているという世帯も多いことから、社会問題として顕在化することはなかった。しかし2019年5~6月、20人(うち児童19人)が殺傷された川崎殺傷事件、元農水省事務次官による長男殺人事件と、ひきこもり者をめぐる事件が連続したことで世間関心が向けられるようになった。ひきこもり者による犯罪は極めてまれで、ひきこもりと犯罪の直接的な因果関係についても多くの専門家が否定している。しかしこれを機に、親が病気や要介護状態になった途端に生活が破綻したという8050世帯の事例が多数報道されると共に、社会から孤立し、公的支援の網の目からもこぼれ落ちた8050世帯の窮状にも目が向けられるようになった。また、バブル崩壊後の就職氷河期に社会に出たロスジェネ世代(失われた世代)も40代に突入したことから、70代の親とロスジェネ40代の「7040問題」も論じられるようになった。
中高年のひきこもり者の現状に関して、政府も18年に初めて全国調査を行い、40~64歳のひきこもり者が推計61万3千人いることを公表している(内閣府「生活状況に関する調査」)。15~39歳のひきこもり者の推計54万1千人(15年調査)を上回っており、ひきこもり者の高齢化とひきこもりの長期化が注目されることとなった。調査では、広義のひきこもりを「近所のコンビニや趣味に関する用事を除き、6カ月以上連続して外出しない状態が続くこと」などと定義している。ひきこもり状態になった主なきっかけは、「退職したこと」「人間関係がうまくいかなかったこと」「病気」「職場になじめなかったこと」などの回答が多数を占めている。

(大迫秀樹 フリー編集者/2019年)

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知恵蔵mini 「8050問題」の解説

8050問題

ひきこもりの長期化、高齢化から引き起こされる社会問題。主に50代前後のひきこもりの子どもを80代前後の親が養っている状態を指し、経済難からくる生活の困窮や当事者の社会的孤立、病気や介護といった問題によって親子共倒れになるリスクが指摘されている。2010年代半ばまでに実施されてきたひきこもりの調査の多くは15〜39歳を対象としてきたため、40歳以上のひきこもりは可視化されていなかった。政府は中高年のひきこもりの実態を調査するため、18年11月に40~64歳の無作為に抽出した5000人を対象とした全国調査を行い、支援案づくりに着手する方針である。

(2018-9-13)

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