BET吸着等温式(その他表記)BET adsorption isotherm

法則の辞典 「BET吸着等温式」の解説

BET吸着等温式【BET adsorption isotherm】

ブルナウアー‐エメット‐テラーの吸着等温式*というのが正式であろうが,「ビー・イー・ティーの式」,あるいは「ベット吸着等温式」と呼ばれることも少なくない.ラングミュアの吸着等温式*は単分子吸着層を仮定しているのだが,多分子層吸着を考えて,それぞれの層がラングミュアの式に従う吸着を起こすとして導かれた.吸着気体体積V,単分子層全体を被覆するのに要する気体の体積を Vm としたとき,次のようになる.

ここで p は気体の圧力ps飽和蒸気圧C は吸着熱 QA液化熱 QL を含む下記のようなパラメータである.c1 は系による定数である.

実際にはこの式を変形して p/psx とおき,

とし,x/ {V(1-x)}を x に対してプロットして VmC とを定めることになる.

このほかに多分子層の厚さを有限とした式も導かれていて,細孔吸着の場合に利用されている.

出典 朝倉書店法則の辞典について 情報

化学辞典 第2版 「BET吸着等温式」の解説

BET吸着等温式
ビーイーティーキュウチャクトウオンシキ
BET adsorption isotherm

多分子層吸着に対する吸着等温式の一つ.1938年,S. Brunauer,P.H. Emmett,E. Tellerによって提案されたので,三者の頭文字をとって命名された.吸着状態の模型として,ラングミュア型(ラングミュア吸着等温式)の単分子吸着層の上に,さらにファンデルワールス力によって第二層,第三層などに分子が液体に近い状態で吸着すると考える.おのおのの吸着層について,吸着および脱離の定常状態が成り立つとし,平衡吸着量vを求めると,

が得られる.ここで,vm は単分子層飽和吸着量,xp/p0 は吸着温度での飽和蒸気圧p0 に対する吸着分子蒸気圧pの比である.この式は,xが0.05~0.35の範囲でよく成立する.実際には,この式を変形して,

とし,x/v(1 - x)とxとの直線関係から vm およびcを定める.吸着分子の断面積の値を用いて,vm から固体表面積を求めることができる.このほか,多分子吸着層の厚さを有限とした式が導かれ,細孔内の吸着に利用される.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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