KN-02(SS-21)地対地ミサイル(読み)KN-02ちたいちみさいる/けーえぬぜろにちたいちみさいる/KN-02(SS-21)ちたいちみさいる/けーえぬぜろにえすえすにじゅういちちたいちみさいる(英語表記)KN-02 surface-to-surface missile

知恵蔵 の解説

KN-02(SS-21)地対地ミサイル

2007年4月25日の北朝鮮人民軍創設75周年記念の軍事パレードで、初めて存在を明らかにした短距離(120km)弾道ミサイル。KN-02は米国(?)が与えたコードネームで、北朝鮮名は不明。旧ソ連が開発し、現在のロシア軍も使用している9K79トチカ(Tochika、NATOコードネームはSS-21スカラブ)と同じ型か、北朝鮮でコピー、ないしは改良した型と推測される。3R10ルナ2(FROG-5)、9M21EルナM(FROG-7B)地対地ロケットの後継として1990年代初めにシリアから入手したといわれるが、自走発射機がロシアの型とは異なる独自の設計という点から、国産化している可能性が大きい。スカッドノドンと違って固体燃料であるために維持、整備、移動性、貯蔵性、即応性に優れるが、固体燃料生産にはシリアやイランの技術支援も推測されている。2005年4月に日本海に向けて最初の発射実験を行い、07年5月25日と6月7日にも日本海と黄海に向けて発射(演習)を実施した。日本に届く射程ではないが、前記の特性から韓国や在韓米軍には大きな脅威となる。また固体燃料技術の取得は北朝鮮の弾道ミサイル開発能力の飛躍的な進歩といえる。命中率(半数必中界)は100〜200mといわれる。ロシア軍のトチカに核弾頭は装備されていないものの、北朝鮮型が生物弾頭や化学弾頭を装備している可能性は否定できないとされている。

(江畑謙介 拓殖大学海外事情研究所客員教授 / 2008年)

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