P-X哨戒機(読み)PXしょうかいき/ぴーえっくすしょうかいき(英語表記)P-X(maritime)patrol aircraft for JMSDF

知恵蔵 「P-X哨戒機」の解説

P-X哨戒機

海上自衛隊が1982年から97年にかけて101機(電子情報収集などの多用途型を加えると115機)が調達された米国製(川崎重工がライセンス生産)P-3Cオライオン哨戒機の後継として防衛省技術研究本部が開発中の次期哨戒機の開発・試作名称。P-3Cよりも一回り大きく、全幅35.4m、全長38.0m、総重量79.7t、エンジンはP-3Cのターボプロップ4基に代わって国産のXF7-10ターボファン4基とされている。P-3Cの後継機選定に当たっては、P-3の近代化改造・発達型、米国が開発中のP-8Aポセイドン哨戒機の導入なども検討されたが、機体、エンジン共に国産とされることになった。同時に開発されている航空自衛隊のC-1輸送機の後継機C-Xと一部を共通とする方式で開発費を節約しているとされる。2007年5月に静強度試験中に水平尾翼荷重試験で付け根部分に変形が生じたが、この部分はC-Xと共通の設計になっている。また同年7月には与圧荷重試験で胴体床の継ぎ目にひび割れが生じ、リベットの破損、床板の変形などが生じたが、C-Xの試作機と共に同年7月にロールアウトを行い、9月に初飛行した。08年度予算では最初の生産型4機の調達経費が要求された。開発が順調に進めば80機程度が調達される予定

(江畑謙介 拓殖大学海外事情研究所客員教授 / 2008年)

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